2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078203
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40004452)
|
Keywords | トリシラアレン / トリゲルマアレン / 動的ディスオーダー / スピロペンタシラジエン / スピロペンタシレン / 光反応 / 不飽和ケイ素化合物 |
Research Abstract |
本研究では、高周期14族元素多重結合をもつ新しい骨格の化合物を創製し、その動的錯体としての構造、物性および反応性の特徴を明らかにし、制御することを目的としている。昨年度までに、形式的なsp-ケイ素を有する化合物として初めて、アレンのケイ素類縁体であるトリシラアレンを創出することに成功し、さらに、そのゲルマニウム類縁体であるトリゲルマアレンを合成した。本年度は、1,3-ジゲルマシラアレンおよび1,3-ジシラゲルマアレンの合成に成功し、一連の高周期14族元素トリメタラアレンの構造を比較検討した。これらはいずれも折れ曲がった骨格を持つことがわかった。トリシラアレンでは、中央のケイ素は両端のケイ素を通る軸の周りで回転するような動的挙動が、結晶中でも溶液中でも見出されたが、結晶中の動的ディスオーダーはトリゲルマアレンや1,3-ジゲルマアレンでは観察されなかった。この動的ディスオーダーは末端元素の折れ曲がりの程度と相関のあることを発見した。すなわち、末端不飽和元素がゲルマニウムの場合にはその周りでの折れ曲がりの程度がケイ素の場合より大きく、両端の置換基を含む二つの面で区切られる4つの象限の環境に顕著な差異を生じ、中央の元素は一つの象限に優先的に位置するためであるとの結論を得た。スピロペンタシラジエンに関しては四塩化炭素などハロアルカン類との反応を系統的に研究し、四塩化炭素との反応では2つのケイ素-ケイ素二重結合が段階的にジクロロ化されることを明らかにした。このようにして新規なスピロペンタシランおよびスピロペンタシレンに誘導した。また、スピロペンタシラジエンの光反応を追跡し、新しいケイ素-ケイ素二重結合化合物の生成することを見出したが、まだ同定には至っていない。
|
Research Products
(11 results)