2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
溝部 裕司 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40175609)
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Keywords | 金属クラスター / 金属カルコゲニド / 小分子の活性化 / 窒素固定 / 金属酵素モデル / 超分子合成 / 酸化反応 / DFT計算 |
Research Abstract |
(1)三級ホスフィンを補助配位子とするモリブデン窒素錯体と末端シアノ基をもつチオラート配位子で架橋された貴金属クラスターとを反応させることで、窒素分子を配位したモリブデン錯体サイトとこれに電子を伝達する金属-スルフィドクラスターサイトを有機シアノ配位子で連結したハイブリッド錯体の合成に成功した。ナノサイズの本分子は、新規な窒素固定酵素活性部位モデルである。 (2)カルコゲノラート配位子により架橋連結されたロジウム-ルテニウム二核錯体について、酸素分子との反応を検討した結果、室温常圧下で酸素分子が容易にルテニウムサイトにサイドオン配位で取り込まれ、ペルオキシド錯体を与えることが判明した。 (3)スルフィドおよびチオラート配位子により架橋されたルテニウム-イリジウム三核クラスターについて、各種小分子との反応を検討した結果、一酸化炭素やイソニトリルは1つのイリジウムサイトにエンドオン配位するのに対し、アルキンはルテニウムとスルフィド配位子との間に架橋配位することが判明した。 (4)一連の貴金属と15族典型金属とを含む混合金属スルフィドクラスターの新規合成に成功し、そのうちルテニウム-アンチモン-硫黄クラスターについては、三級ホスフィンのホスフィンオキシドへの酸素酸化を効率的に触媒することを見出した。 (5)当研究室で窒素固定酵素活性部位モデルとして新規に合成したアセトニトリル配位Mo_2Ru_2S_4キュバン型クラスターについてDFT計算を行った結果、そのモリブデンサイトにニトリルは安定に配位できるのに対して、ニトリルと等電子構造の窒素分子はほとんど配位できないことがわかった。ただし、クラスターを還元すると窒素分子との結合がいくらか安定化することも判明し、窒素固定酵素モデルとしての遷移金属スルフィドクラスター合成に向けての重要な知見が得られた。
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Research Products
(5 results)