2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078210
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 寛治 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (30106629)
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Keywords | ルテニウム / ヒドリド錯体 / 異種金属クラスター / イリジウム / レニウム / 配位サイト交換 / H / D交換 / ホスフィド錯体 |
Research Abstract |
クラスター反応場では、反応基質あるいは有機配位子に対して複数の金属中心が共同的に作用することが可能であり、単核錯体上では見られない様式の反応が起こる。異なる種類の金属で構成されるクラスター反応場は電子的な異方性を有し、基質の活性化に際して金属中心の機能分担が促進されることが期待される。本年度はルテニウムとレニウムから成る新規な二核および三核クラスターの合成と、それに含まれるヒドリド配位子のサイト交換、ヒドリド配位子と重ベンゼンとの間のH/D交換について詳細に検討した。さらにルテニウムとイリジウムから成る二核ポリヒドリド錯体によるP-C結合切断を達成するとともに、溶液中における架橋ホスフィド配位子の興味深い動的過程についても明らかにした。 5種類の異種金属クラスターCp'Ru(μ-H)_3ReH_2Cp',Cp'Ru(μ-H)_3ReH(triphos),[(Cp'Ru)_2(Cp'Re)(μ-H)_5](BF_4),(Cp'Ru)_2(Cp'Re)(μ-H)_4,(Cp'Ru)(Cp'Re)_2(H)_5を合成し、X線回折法を用い分子構造を明らかにするとともに、^1Hおよび^<31>P NMR分光法によりヒドリド配位子のサイト交換の活性化パラメータを見積もった。一方これらのクラスターのヒドリド配位子と重ベンゼンとの間でのH/D交換反応の活性化パラメータを求め、これとヒドリド配位子のサイト交換の活性化パラメータとの間に強い相関があることを明らかにした。またイリジウムとルテニウムからなるクラスターCp'Ru(μ-H)_3IrCp'とトリフェニルホスフィンの反応では、2つの金属中心の協同作用によりP-C結合が容易に切断され、ホスフィドフェニル錯体Cp'Ru(μ-PPh)(μ-H)(μ-η^1:η^2-Ph)IrCp'が生成することを見出した。架橋フェニル配位子のオルト位の水素と架橋ヒドリド配位子の間に交換過程が存在し、それがオルトメタル化を経るものであることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)