2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078212
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 教授 (50169885)
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Keywords | 二官能性触媒 / 分子触媒反応 / アリルエーテル / アリル炭酸エステル / 触媒的脱保護 / キナルジン酸 / 無添加 / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
平成16年度は、前年度までに追究してきた触媒的不斉反応の機構解明研究過程で得た、反応性、選択性、循環性を獲得する上で必要な指導原理を基盤として、新触媒反応系の確立を目指した。具体的には、反応性獲得に必要となる「遷移状態における電子的・立体的相補性の向上」を実現するための基本概念として「ドナー・アクセプター型二官能性触媒」を取り入れ、アリルエーテル結合の切断反応に照準を置き、自動合成装置を活用して、触媒活性探索を実施した。「アルコール性溶媒・無添加」を大前提に、様々な8、9、10族の遷移金属錯体と配位子とを行列式的に粗み合わせて、触媒活性を調査した結果、1:1[CpRu(CH_3CN)_3]PF_6/キナルジン酸混合系が高活性を有することをはじめて見いだした。アリル炭酸エステルからの脱アリル化にも適用できる。これらの化合物はヒドロキシル基の保護体として、多官能性有用有機物質合成に広く用いられる。Pd錯体を用いる辻-Trost法やRh錯体を用いるCorey法によって脱保護されるが、触媒以外に酸、アルカリ、酸化剤、還元剤等の添加剤を大量に加えなければならない。生成物の単離をも煩雑化し、生体関連高分子の合成においては致命的となることさえある。新触媒系はこれらの問題を解決するものであり、原子効率、Eファクタ、操作性、安全性等のいずれの観点からも従来法に優る脱保護法として注目される。有用物質合成におけるアリルエーテル保護の有用性を一層高めるものであり、今後の展開が期待される。
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Research Products
(7 results)