2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078215
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大嶌 幸一郎 京都大学, 工学研究科, 教授 (00111922)
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Keywords | コバルト / 水中反応 / 環境調和型反応 / ラジカル / 環化反応 / カップリング反応 |
Research Abstract |
人間の生活に役立つ物質の数多くは有機合成に頼っている。また,自然科学の諸分野の発展とともに要求される化合物も増え,しかもそれらの構造はますます複雑になってきている。これらの要求に応えるため、優れた反応の創出は重要である。従来の方法では多段階を要する分子変換をはるかに少ない工程で達成できれば、必然的に途中で生じる廃棄物の量も減少し、環境に優しい化学プロセスを構築できる。研究代表者は新しい分子変換反応の開発を通じて環境調和型有機合成の実現を目指し研究を行ってきた。 触媒量の塩化コバルトジホスフィン錯体存在下-15℃で臭化オクチルに対してフェニルグリニャール反応剤を作用させると、オクチルベンゼンが収率よく得られた。またブロモアセタールを同様の条件下反応させると、環化反応に引き続きカップリング反応が進行し、ベンジル置換テトラヒドロフラン誘導体を高収率で得ることができた。コバルトアート錯体から基質への一電子移動に引き続き、生成した炭素ラジカルがコバルト錯体と再結合し、反応が進行するものと考えている。ベンジル置換テトラヒドロフラン誘導体は様々な生物活性物質の前駆体として有用である。複雑な骨格のベンジル置換テトラヒドロフラン誘導体の合成には通常多段階を要する。一方、本分子変換反応では市販の薬品から一段階で容易に合成できるブロモアセタールを原料として、コバルト触媒を用いて一挙に炭素-炭素結合を二つ構築し、ベンジル置換テトラヒドロフラン誘導体を効率よく得ることができた。また本反応ではラジカル反応でよく利用されるトリアルキルスズ化合物を使う必要がない。トリアルキルスズ化合物は一般に毒性が高く、これを使わないラジカル反応の開発が求められていた。研究代表者はこれを達成した。
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Research Products
(5 results)