2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14078217
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光藤 武明 京都大学, 工学研究科, 教授 (90026344)
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Keywords | 動的錯体制御 / ルテニウム錯体触媒 / 4-ペンテン-1-オール / 2,3-ジヒドロフラン / 酸化的還化 / アレーン錯体 / p-キノン錯体 / ピリジル錯体 |
Research Abstract |
本研究では、中心金属の動的挙動を精密に制御することにより、従来の概念では不可能であった新規遷移金属錯体触媒反応を開発することを目的とする。近年の有機合成化学および有機工業化学における最重要研究課題の一つは、石油基幹原料として重要なオレフィン等、不飽和炭化水素への触媒的ヘテロ原子導入新反応の開発であり、社会的に強く要請されている。そこで本研究では、我々がこれまで先駆的に独自の方法で詳細な検討を行ってきたルテニウム錯体の触媒化学を基礎とし、アルコール、アミン、硫黄化合物等の極性小分子の触媒的活性化による不飽和炭化水素の新規高選択的官能基化反応の開発、およびこれらの高効率変換反応を可能にする新規0価ルテニウム錯体触媒の合成を行うことを目的とする。 ルテニウム錯体触媒は、アルコールの酸化反応やアルコールを用いるアミンのN-アルキル化反応等、アルコール水酸基の活性化を経る水素移動反応に高い触媒活性を示すことが知られている。これらの反応では一般に、アルコール水酸基のルテニウム活性種への酸化的付加、続くβ-水素脱離反応により、ケトンあるいはアルデヒドが生成するが、我々はβ-水素脱離反応が進行しない1,1-二置換アリルアルコール類の酸化的環化カルボニル化反応、および1,1-二置換ホモアリルアルコール類の触媒的炭素-炭素結合切断反応を開発し報告している。本研究では、さらに炭素鎖を一つ延ばした1,1-二置換4-ペンテン-1-オール類を基質に選び、ルテニウム錯体触媒を用いる新規変換反応の開発を行った。その結果、酢酸アリルおよび炭酸カリウム共存下、一酸化炭素加圧下において、Ru_3(CO)_<12>/PPh_3触媒系を用いる1,1-二置換4-ペンテン-1-オール類の酸化的環化反応が良好に進行し、対応する2,3-ジヒドロフラン誘導体が高収率で得られた。 一方、不飽和炭化水素への触媒的ヘテロ原子導入新反応の開発のために不可欠な新規低原子価ルテニウム錯体触媒、特に新規0価ルテニウム錯体触媒の合成を行った。まず、我々が初めて合成したRu(η^6-cot)(dmfm)_2[cot=1,3,5-cyclooctatriene;dmfm=dimethyl fumarate]を出発原料として用いることにより、芳香族炭化水素との反応ではcot配位子が交換した0価(η^6-アレーン)ルテニウム錯体が、またp-キノン類との反応ではdmfm配位子が交換した0価(p-キノン)ルテニウム錯体がそれぞれ高収率かつ高選択的に得られることを見出した。さらにPyboxに代表される不斉窒素三座配位子との反応では、光学活性0価ルテニウム錯体が得られることを明らかにしており、現在、これらの新現0価ルテニウム錯体に特徴的な触媒機能の発現について詳細な検討を行っている。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "Ruthenium Complex-Catalyzed Oxidative Cyclization of 4-Penten-1-ols"Chemistry Letters. 32・1. 24-25 (2003)
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[Publications] Yasuyuki Ura: "Synthesis and Structures of Novel Zerovalent Ruthenium p-Quinone Complexes and a Bimetallic p-Biquinone Complex"Organometallics. 22・1. 77-82 (2003)
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[Publications] Masashi Shiotsuki: "Synthesis and Structure of Novel Zerovalent Ruthenium Complexes with Three Pyridine Ligands or Tridentate Pyridyl Ligands"Organometallics. 22・6. 1332-1339 (2003)
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[Publications] Yasuyuki Ura: "Synthesis of Novel Zerovalent Ruthenium η^6-Arene Complexes via Direct Displacement of a 1,3,5-Cyclooctatriene Ligand by Arenes"Organometallics. 22・9. 1863-1867 (2003)