2005 Fiscal Year Annual Research Report
精密X線ドップラー分光で探るブラックホールのダイナミクス
Project/Area Number |
14079103
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
大橋 隆哉 首都大学東京, 都市教養学部, 教授 (70183027)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 学 首都大学東京, 都市教養学部, 助教授 (20249931)
石崎 欣尚 首都大学東京, 都市教養学部, 助手 (10285091)
満田 和久 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 教授 (80183961)
山崎 典子 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助教授 (20254146)
藤本 龍一 宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 助手 (20280555)
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Keywords | X線天文学 / マイクロカロリメータ / 低温検出器 / エネルギー分解能 / 科学衛星 / 超伝導遷移端出器 / 宇宙観測 / X線検出器 |
Research Abstract |
本年度は5年計画の4年目にあたっており、以下の通り研究を行った。 1.Astro-E2: 7月10日にX線天文衛星「すざく」がJAXA内之浦宇宙空間観測所より打ち上げられた。衛星としては順調に軌道に乗り、初期オペレーションが行われた。マイクロカロリメータ検出器(XRS)は60mKという極低温を軌道上で達成し、内蔵の較正線源に対して約7eVという優れたエネルギー分解能を短期間実現した。一方、XRSの動作には熱的に不安定な挙動が見られており、8月8日に液体ヘリウムがすべて失われ、XRSによる宇宙観測は不可能となった。詳細は調査委員会の報告に譲るが、XRSとしては残念な結果である一方、短期間とは言え、軌道上で極低温と所期のエネルギー分解能を実現させたことの意義は大きい。マイクロカロリメータによる宇宙観測を早期に実現したいという声は世界的に強く、本グループを中心とする日本の参加が必須と考えている。 2.TESカロリメータの開発: 以上の状況下、多素子マイクロカロリメータの開発という本研究の必要性はむしろ高まったと考えている。これも踏まえた上で、今年度は以下の開発を行った。 1.製作プロセスの確立:首都大と宇宙研の装置を用いて、Ti/Au薄膜からTESカロリメータまで作り上げるプロセスが確立し、in-houseで一貫した検出器製作が可能となった。 2.スズ吸収体を用いた硬X線用TESカロリメータの開発:60keVに対し38eVのエネルギー分解能を実現し、カロリメータによる気球観測の可能性を開いた。 3.産総研核融合プラズマからのX線のTESカロリメータによる測定実験:プラズマから鉄のL輝線を検出したほか、プラズマが多温度であることを明確に示すエネルギースペクトルを得た。 4.多入力SQUIDと信号多重化回路の開発:8入力のSQUIDをセイコーインスツルの協力により開発、また信号を多重化するための回路を試作し、合わせてTESの熱モデルによる検討も進めた。
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Research Products
(4 results)