2005 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホール形成シナリオにもとづくガンマ線バーストの起源
Project/Area Number |
14079202
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (00111914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 章一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80251403)
長滝 重博 京都大学, 基礎物理学研究所, 助教授 (60359643)
戸谷 友則 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90321588)
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Keywords | ブラックホール / ガンマ線バースト / 超新星爆発 / ニュートリノ / 超高エネルギー宇宙線 |
Research Abstract |
本年度は、大質量星の重力崩壊の長時間進化をいろいろな側面から研究した。超新星コアの1次元球対称なダイナミクスのシミュレーションでは、バウンス後1秒にわたる輻射流体力学の計算を行い、状態方程式の違いが与える影響を明らかにした。この研究の延長として、ブラックホールをつくる重力崩壊モデルの計算も行い、ニュートリノ放射における通常の超新星とは異なる特徴を指摘した。一方、多次元シミュレーションを用いた研究では、ブラックホール形成に伴うジェットの生成とそこでの元素合成についてオイラー法を用いたシミュレーションにより系統的に研究し、その結果を発表した。 ガンマ線バーストは宇宙に於ける最高エネルギー陽子の加速源として期待されており、本年度はその視点に立って研究を行い、幸い多くの成果を得ることが出来た。まずガンマ線バースト現象の中でも最も陽子加速効率がよいとされる内部衝撃波の環境に対してフェルミ加速理論を適用し、陽子の最高エネルギーが10^20eVにも及ぶことを確認した。これは地球上で観測されている最も高いエネルギー(最高エネルギー宇宙線)に相当する。更にこれら超高エネルギー陽子が周囲のガンマ線と相互作用を起こし、中間子生成を通して高エネルギーニュートリノを生み出す過程に注目し、宇宙背景高エネルギーニュートリノのフラックスを求めた。結果、現在南極で建設中のIceCubeではこのような背景ニュートリノを観測できる可能性があることが判明し、新しいニュートリノ天文学の幕開けを示唆する研究となった。 ガンマ線バーストのエンジンとして強磁場時点重力崩壊のシミュレーションを進めているが、流体計算を完全に電磁部分を含め特殊相対論化することに成功し、より現実的主務レーションを行った。強いジェットが局軸方向に放出されるが、その速度がほとんど光速で、大きな相対論的因子を持つ場合についても安定に計算可能となった。
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Research Products
(10 results)