2002 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホールへ流入する物質と噴出する物質のダイナミクス
Project/Area Number |
14079205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70229780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 文郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20154891)
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Keywords | ブラックホール / 放射場 / 磁場 / X線連星系 / 活動銀河核 / ガンマ線バースト / 宇宙ジェット / 逆コンプトン散乱 |
Research Abstract |
低質量X線連星系や活動銀河中心のブラックホール侯補天体は、激しい時間変動、高エネルギー放射、およびジェット噴出を示す。本研究は、ブラックホールに降着する流れと噴出する流れにおける磁場と物質、放射間の相互作用を理論的に解明する。初年度は以下の結果を得た。 1)MHDシミュレーションによる高温降着流構造の研究 ブラックホール天体からの硬X線・ガンマ線放射の母体となる高温降着流のダイナミクスは磁場が支配する。しかし従来のMHDシミュレーションは、対流発生のため、密度分布はフラットになり、観測のスペクトルも短時間変動も説明できない。そこで、新しく放射冷却を入れて対流運動をおさえるシミュレーションを実行したところ、予想通りの中心集中型の密度分布が得られた。 (2)磁気リコネクションにより加熱されたディスクコロナモデルの構築 太陽コロナモデルを参考に、磁気リコネクション加熱説に基づく簡単なディスクコロナモデルの構築をおこない、ついで多波長スペクトルを計算し、活動銀河核のスペクトルエネルギー分布を再現することに成功した。 (3)ガンマ線バーストに現れるニュートリノ冷却円盤の構造 ガンマ線バーストのモデルとして現在有力なブラックホールとコンパクト天体の合体シナリオに基づき、このとき形成されるニュートリノ冷却円盤の構造を詳しく調べたところ、ニュートリノ冷却により円盤が一時的に不安定化されること、ニュートリノ降着円盤の中では中性子のベータ崩壊がゆっくりと進行し、核γ線を放射することなどが新しく判明した。 (4)相対論的ジェットのモデル 活動銀河からの相対論的ジェットの物理状態を探る研究を行なった。スペクトルフィッティングより、電子成分が磁場よりもエネルギーが大きいこと、フレア現象が内部衝撃波モデルでよく説明されることを示した。さらにジェット形成のモデルとしてウィーン火球モデルを数値的に調べ、観則のローレンツ因子やパワーが再現できることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Asano, T., Takahara, F.: "Photon Emission in Cascade from Relativistic Protons Initiated by Residual Thermal Photons in Gamma Ray Bursts"Pub. Astron. Soc. Japan. 57(印刷中). (2003)
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[Publications] Liu, B., Mineshige, S., Shibata, K.: "A Simple Model for Magnetic Recommection Heated Corona"Astrophys. J.. 572. L173-L176 (2002)
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[Publications] Ohsuga, K., Mineshige, S., Umemura, M., Mori, M.: "Does the Slim-Disk Model Correctly Take into Account Photon Trapping Effects?"Astrophys. J.. 574. 315-324 (2002)
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[Publications] Liu, F., Mineshige, S., F.Meyer, E.Meyer: "Two-Temperature Coronal Flow above Thin Disk"Astrophys. J.. 575. 117-126 (2002)
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[Publications] Kohri, K., Mineshige, S.: "Can Neutrino-Cooled Accretion Disk be an Origin of Gamma-Ray Bursts?"Astrophys. J.. 577. 311-321 (2002)
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[Publications] Shibata, S., Miyazaki, J., Takahara, F.: "On the electric field screening by electron-positron pairs in the pulsar magnetosphere-II"Mon. Not. Roy. Astron. Soc.. 336. 233-240 (2002)