2003 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホールへ流入する物質と噴出する物質のダイナミクス
Project/Area Number |
14079205
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶺重 慎 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70229780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 文郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20154891)
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Keywords | ブラックホール / 放射場 / 磁場 / X線連星系 / 活動銀河核 / 宇宙ジェット / ガンマ線バースト / シンクロトロン放射 |
Research Abstract |
低質量X線連星系や活動銀河中心のブラックホール候補天体は、激しい時間変動、高エネルギー放射、およびジェット噴出を示す。本研究は、ブラックホールに降着する流れと噴出する流れにおける磁場と物質、放射間の相互作用を理論的に解明する。今度は以下の結果を得た。 (1)MHDシミュレーションによる高温降着流構造の研究 降着流の中に埋め込まれた弱い種磁場が、差動回転やMHD不安定により、どのように成長するかを、大局的3次元MHDシミユレーションにより調べた。弱いポロイダル磁場に貫かれた初期トーラスを最初に用意する。すると強い差動回転により、ポロイダル磁場は引き伸ばされてトロイダル(回転角方向)磁場を作り、そのトロイダル磁場はぎりぎり巻きに蓄積して磁気タワーを形成する。この結果、磁気圧力駆動ジェットが自然に噴出することを世界で初めて示すことができた。 (2)磁気降着流からの多波長スペクトル 計算したMHDシミュレーションデータを基に、多波長スペクトルをモンテカルロ法により計算した。考慮したプロセスは、シンクロトロン放射とその自己吸収(電波領域)、こうしてできた低エネルギー光子の高温電子による逆コンプトン散乱、さらに熱制動輻射である。その結果、典型的な低光度ブラックホール降着流の観測スペクトルを再現することに成功した。さらに同じシミュレーションデータを用いた鉄ラインプロファイルの計算も現在実行中である。 (3)相対論的ジェットのモデル 活動銀河からの相対論的ジェットの物理状態を探る研究を行なった。電子陽電子対と高エネルギー光子からなるウィーンファィアボールの輻射流体力学をモンテカルロ法を用いて調べ、電子陽電子対プラズマが相対論的なバルク速度になるまで加速され十分な運動学的光度を持つことを示した。また、ファイアボール形成に関わる素過程を検討した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Y.Kato, S.Mineshige, K.Shibata: "Magnetohydrodynamical Accretion Flows : Formation of Magnetic Tower Jet and Subsequent Quasi-Steady State"Astrophys.Journal. (印刷中). (2004)
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[Publications] K.Ohsuga, S.Mineshige: "Spectral energy Distribution in Super-Critical Disk Accretion Flows"Astrophys.Journal. 596. 429-436 (2003)
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[Publications] B.Liu, S.Mineshige, K.Ohsuga: "Spectra from a Magnetic Reconnection-Heated Corona in AGN"Astrophys.Journal. 587. 571-579 (2003)
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[Publications] S.Iwamoto, F.Takahara: "Wien Fireball Model of Relativistic Outflows in Active Galactic Nuclei"Astrophys.Journal. 601. 78-89 (2004)
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[Publications] T.N.Kato, F.Takahara: "Probabilistic description of the first-order Fermi acceleration in shock waves : time-dependent solution by the single-particle approach"Monthly Not.Roy.Astron.Soc.. 342. 639-650 (2003)
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[Publications] K.Asano, F.Takahara: "Photon Emission in a Cascade from Relativistic Protons Initiated by Residual Thermal Photons"Pub.Astron.Soc.Japan. 55. 433-444 (2003)