Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 武義 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80004505)
中村 美千彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70260528)
伊藤 高敏 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (00184664)
中嶋 聡 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80237255)
寅丸 敦志 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50202205)
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Research Abstract |
発泡過程,脱ガス過程,火道閉塞過程などの素過程に分解し,実験的,理論的な研究を進めた.また,本年度はさらに,これらの素過程を考慮した火道内のマグマ上昇過程の研究を進めた. 発泡過程:高温顕微赤外分光法によるガラスからの脱水その場観測を継続し,流紋岩から玄武岩までの幅広い組成の火山ガラスにおけるみかけの水の拡散係数等を決定した.珪酸塩メルトの発泡実験を行った結果,周辺のガス種により,発泡や泡の収縮の過程に差が現れることが明らかとなった. 脱ガス過程:含水流紋岩質メルトの加熱発泡実験を行い,浸透流脱ガスではなく拡散-気泡再吸収による脱ガスが起こることを見出すとともに,移動境界問題としてのモデル化に成功した.鬼首火山の本質火砕物の気泡の組織解析を行い,気泡連結度と発泡度の関係がパーコレーション理論と良く合うことを見出した.ガスの透過率測定器を用いて,火山噴出物の発泡に伴う浸透率の変化を測定した. 火道閉塞過程:実際の火道周辺で期待されるような,火道を断層が斜めに交差しているような場合,き裂面接線方向に生じる熱応力のため断層にずれが生じ,火道を閉塞する状況があることがわかった. マグマ上昇過程:雲仙平成噴火の火砕流堆積物中の石基斜長石マイクロライトの結晶サイズ分布とマイクロライト数密度脱水速度計により気泡核形成深度でのマグマの上昇速度を推定した.この結果と噴出率から,火道が噴出率の振動と同期して膨張・収縮し,噴火の終息に伴って閉塞したことを明らかにした。揮発性成分の発泡過程を加味したマグマの火道方向の上昇モデルを構築し,脱ガスがない場合には,マグマの体積は上昇とともに数十%以上増加するのに対し,脱ガスが十分進む場合は,マグマが体積をほぼ一定に保つことから,上昇するマグマの体積変化をモニターすることにより,爆発的噴火の発生を予測できる可能性があることが明らかとなった.
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