2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14081203
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
横田 崇 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50134622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 寛 金沢大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (70260536)
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Keywords | 胚性幹細胞 / STAT3 / LIF / Oct-3 / 4 / Zfp57 / Dax-1 / ES細胞 / 未分化性維持 |
Research Abstract |
マウスES細胞はLIF存在下で未分化状態を維持する。その未分化状態維持には、STAT3の活性化及びOct-3/4の発現が必須である。本研究ではES細胞の未分化状態維持の分子機構を解明する目的で、DNA chip解析からSTAT3のターゲット遺伝子を、またyeast two-hybrid法からOct-3/4と相互作用する因子を探索した。 これまでにDNA chip解析から分化に伴って発現量が減少する遺伝子としてZinc finger protein (Zfp) 57を得て、その未分化状態特異的な発現をノーザン及びウエスタンブロット法で確認している。本研究では、Zfp57がLIFの下流に存在する2つの転写因子、STAT3とOct-3/4のどちらの下流であるかを検討した。STAT3のドミナントネガティブ変異体をES細胞に過剰発現させると、Zfp57 mRNAの発現量が減少した。一方、テトラサイクリンの添加によりOct-3/4の発現調節が可能なES細胞株(ZHBTc4 ES細胞株)を用い、Oct-3/4の発現を停止させても、Zfp57 mRNAの発現量に変化は認められなかった。これらの結果はZfp57がSTAT3の下流遺伝子であり、Oct-3/4のそれではないことを示す。また既にZfp57とOct-3/4との結合を共免疫沈降法により確認していたが、今回はこの結合がOct-3/4のPOUドメインとZfp57のZn finger領域を介していることを明らかにした。次にOct-3/4の標的遺伝子Rex-1のプロモーター配列を用いてレポーターアッセイを行う目的で、このプロモーターに含まれるOct-3/4結合配列と未同定因子Rox-1結合配列が5回反復するレポーター遺伝子を作成した。HEK293細胞内でのレポーターアッセイの結果、Oct-3/4の転写活性化能がZfp57によって大きく亢進されたが、その亢進活性はRox-1結合配列に変異を導入しても減少しなかった。このことから、Zfp57は存在が予想されているRox-1ではなく、Oct-3/4のコファクターとして機能していると考えられる。 一方、yeast two-hybrid法からは、Oct-3/4と結合する因子として、核内ホルモンレセプタースーパーファミリーに属する転写因子DAX-1を得た。Oct-3/4との結合は共免疫沈降法によっても確認された。またDAX-1のES細胞での発現は未分化状態特異的であった。次にDAX-1がSTAT3とOct-3/4のどちらの下流であるかを検討する目的で、4-hydroxytamoxifen(4HT)によりSTAT3の活性が調節可能なES細胞株(STAT3ER ES細胞株)と、ZHBTc4 ES細胞株を用いて実験を行った。その結果、4HT除去によるSTAT3の不活性化によっても、Tetの添加によるOct-3/4の発現の停止によっても、DAX1 mRNAの発現が減少した。これはDAX-1がSTAT3とOct-3/4の両者により発現が調節されていることを示唆する。生殖腺や副腎では転写因子SF-1によるDAX-1の発現調節が報告されているが、ES細胞にはSF-1が発現していないことから、DAX-1の新たな発現調節機構がES細胞に存在すると考えている。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Tanaka, T., Yokota, T., et al.: "Gene expression profiling of embryo-derived stem cells reveals candidate genes associated with pluripotency and lineage specificity"Genome Research. 12・12. 1921-1928 (2002)
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[Publications] Oka, M., Yokota, T., et al.: "CD9 is associated with leukemia inhibitory factor-mediated maintenance of embryonic stem cells"Mol.Biol.Cell.. 13・4. 1274-1281 (2002)
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[Publications] Sato, A., Yokota, T., et al.: "Zinc-finger protein Sall2 is not essential for embryonic and kidney development"Mol.Cell.Biol.. 23・1. 62-69 (2003)
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[Publications] Senga, T., Yokota, T., et al.: "Stat3-dependent induction of BATF in M1 cells"Oncogene. 21・53. 8186-8191 (2002)
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[Publications] Senga, T., Yokota, T., et al.: "LSSIG is a novel murine leukocyte specific GPCR that is induced by the activation of STAT3"Blood. 101・3. 1185-1187 (2003)
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[Publications] Matsui, T., Yokota, T., et al.: "STAT3 down-regulates the expression of cyclin D during liver development"J.Biol.Chem.. 277・39. 36167-36173 (2002)