2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14081209
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
丹羽 仁史 独立行政法人理化学研究所, 多能性幹細胞研究チーム, チームリーダー (80253730)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山中 伸弥 国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学, 遺伝子教育研究センター, 教授 (10295694)
中尾 和貴 独立行政法人理化学研究所, 変異マウス開発チーム, 研究員 (20217657)
升井 伸治 独立行政法人理化学研究所, 多能性幹細胞研究チーム, 研究員 (20342850)
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Keywords | 初期化 / 多能性 / Oct-3 / 4 |
Research Abstract |
我々はこれまでにマウスES細胞でOct-3/4の機能を抑制すると自己複製が停止し栄養外胚葉への分化が誘導されることを見出していたが、再びOct-3/4を活性化することによって、この現象を逆転させる、即ち分化細胞を未分化幹細胞へと初期化できるかどうかは、技術的問題から検討出来ていなかった。この問いに答えるべく、新たにホルモンで可逆的に活性を制御できる改変型Oct-3/4を作成し、検討を行った。この結果、Oct-3/4発現抑制後24時間目にOct-3/4を再活性化すると100%の細胞が未分化状態を維持し、48時間後においても30%が未分化コロニーを形成したが、72時間後では分化を阻止することは出来なかった。現在、この分化可逆性を規定する分子機構について、検討を進めている。一方、Oct-3/4がどのようにして細胞の未分化性を維持しているのかを知ることは、再プログラム化により未分化性が再獲得される過程を解析する上で重要なステップである。初期胚およびES細胞におけるOct-3/4の機能喪失は栄養外胚葉への分化を誘導するが、このときに活性化される一群の転写因子の機能解析から、Cdx-2が分化運命決定に重要な役割を果たしていることを明らかにした。Cdx-2をES細胞で強制発現させると、Oct-3/4の抑制と同様に栄養外胚葉への分化を誘導できるが、この過程はOct-3/4の存在による影響を受けない。分子生物学的解析から、Cdx-2はOct-3/4の転写活性化能を抑制すること、また逆にOct-3/4はCdx-2の機能を抑制できること、さらにはOct-3/4とCdx-2は直接会合しうることを最近明らかにした(論文投稿準備中)。このような分化運命決定因子間の相互抑制システムが分子レベルで明らかになったのは初めてのことであり、初期胚における運命決定に重要な役割を果たしていると考えられる。
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