2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
古川 鋼一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80211530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 妙子 宮城県立がんセンター, 研究部, 部長 (50006110)
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Keywords | 糖鎖 / ラフト / ガングリオシド / 糖脂質 / ミクロドメイン |
Research Abstract |
1、ジシアリル糖鎖の発現機構と機能に関する研究では、腎癌におけるジシアリルガラクトシルグロボシド(DSGG)の合成がST6GalNAc-VIによること、GalNAcβ1,4ジシアリルLc4の合成がβ4GalNAc-T2(Sda合成酵素)により担われていることを明らかにした。DSGGは正常腎組織によく発現し、癌になると発現が低下した。GalNAcβ1,4ジシアリルLc4は癌細胞によく発現し、遺伝子導入による高発現によって増殖度と移動度の亢進を認めた。 2、メラノーマの悪性形質におけるGD3発現の作用メカニズムの解析で、p130Cas、paxillinのチロシンリン酸化が増強することを示したが、さらに、SrcファミリーのYesがFAKやp130Casと会合して、重要な役割を演じていることが判明した。また、カベオリン1の高発現によってGD3やp130Cas、paxillinの発現パターンが著明に変化して、focal adhesionの形成不全が見られた。これらの結果は、GD3がfocal adhesionにおいてintegrin、FAK、Yes、種々のアダプター分子と複合体を形成して、細胞機能を増強していることを示唆した。 3、Gb3/CD77遺伝子ノックアウトマウスではベロ毒素の感受性が消失することを明らかにしてきたが、グロボ系糖脂質の生理的な機能に関しては不明である。免疫系組織の形態、リンパ球亜集団の比率、免疫グロブリン濃度などの検討では異常を認めなかったが、C57BL/6に遺伝的背景を近づけたマウスでは、体重減少、るいそう、生後5-8週での突然死が見られ、免疫系、神経系、消化器系の機能異常を検討中である。 4、GM2/GD2合成酵素、GD3合成酵素のダブルノックアウトマウスでは、補体系、炎症系、タンパク質分解系などの遺伝子の発現上昇が認められ、ガングリオシド欠損に対する代償的発現変化と考えられる。今後、これらの遺伝子の本来の機能の解明と、ガングリオシド欠損という環境における発現亢進の意義を明らかにする。
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Research Products
(6 results)