2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14082201
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中山 淳 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10221459)
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Keywords | ピロリ菌 / 感染症 / 糖鎖 / 粘液 / 糖転移酵素 / リンパ球ホーミング |
Research Abstract |
本研究の目的の一つはピロリ菌感染におけるα1,4-GlcNAc残基含有O-グリカンの役割を明らかにすることである.平成16年度は,ヒト胃粘膜よりGSA-2レクチンカラムを用いてα1,4-GlcNAc残基含有粘液を調製し,この粘液がピロリ菌の増殖を抑制することを示した.また,GlcNAcα-PNPもピロリ菌に対して増殖抑制効果があることを見出した.以上の結果と平成15年度までに得られた研究成果を総合し,α1,4-GlcNAc残基含有O-グリカンはピロリ菌の増殖や運動能の保持に重要な細胞壁成分であるα-コレステリルグルコシド(CGL)の生合成を阻害することによって,抗ピロリ菌作用を示すことを証明した(Kawakubo et al.,Science 305,1003-1006,2004).また,昨年度から引き続きα4GnT欠損マウスの作製(ヘテロ欠損体の作出まで)を行うと同時に,本年度から新たにα4GnTトランスジェニックマウスの作製(トランスジーンの構築まで)を開始した.一方,ピロリ菌感染胃粘膜ではMECA-79抗体やHECA-452抗体と反応する高内皮静脈(HEV)様血管が高頻度に出現し,その出現頻度は炎症の程度と正の相関を示した.また,HEV様血管はNCC-ST-439抗体とも反応したことから,これらの血管にはコア1及びコア2上に6-スルホシアリルルイスXを有するO-グリカンの存在が示唆された.更に,HEV様血管にはL-セレクチン-IgMキメラ蛋白が特異的に結合し,ピロリ菌の除菌後は,リンパ球浸潤の減少と共にHEV様血管も消失したことから,ピロリ菌感染慢性胃炎の病態形成にL-セレクチンを介したリンパ球ホーミングが関与していることを示した(Kobayashi et al.,Proc Natl Acad Sci USA 51,17807-17812,2004).
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Research Products
(2 results)