2005 Fiscal Year Annual Research Report
神経系特異的糖鎖シグナルおよび生体防御因子としての動物レクチンの機能解析
Project/Area Number |
14082203
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
川嵜 敏祐 立命館大学, COE推進機構, 教授 (50025706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡 昌吾 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (60233300)
MA Bruce Yong 京都大学, 薬学研究科, 助手 (00378788)
川嵜 伸子 京都大学, 医学部, 教授 (70077676)
長野 正道 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (40367991)
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Keywords | 糖鎖 / 免疫学 / がん / 発生・分化 / 分子認識 |
Research Abstract |
テーマ[A]では、HNK-1抗原(硫酸化グルクロン酸がN-アセチルラクトサミンに結合した珍しい糖鎖)の機能の解明を、HNK-1抗原の生合成を担うグルクロンサン転移酵素(GlcAT-PおよびGlcAT-S)をプローブとして進めている。本年度は、GlcAT-S遺伝子欠損マウスの作成に成功した。これまでの研究により、GlcAT-S遺伝子は腎臓に強く発現していること、また、HNK-1糖鎖は非硫酸化型として存在すること、さらに、近位尿細管およびヘレンループ上行脚に非常に特徴的な発現をすることが知られている。そこで、本遺伝子欠損マウスの腎臓について、非硫酸化型HNK-1糖鎖と反応する抗体を用いて調べたところ、近位尿細管のHNK-1糖鎖が消失したのに対して、ヘレンループ上行脚では残存していた。この結果はin situハイブリダイゼーションによるGlcAT-SmRNAの分布と一致しており、腎臓に発現するHNK-1糖鎖はGlcAT-Sおよび、未知の第三のGlcATにより生合成されることが明らかとなった。 テーマ[B]では、申請者らにより発見された糖認識タンパク質(動物レクチン)であるマンナン結合タンパク質(mannan-binding protein、MBP)の先天性生体防御分子としての機能の解明を進めている。本年度は組織特異的に発現するメタロプロテアーゼの一種であるメプリンのプロテアーゼ活性がMBPにより効果的に抑制されることを見いだした。メプリンは腎臓や小腸の上皮細胞、白血球やある種のがん細胞で高発現し、コラーゲンIV,フィブロネクチンなどの細胞外マトリックスや基底膜を分解するため、がん細胞の組織浸潤、転移に関与するといわれている。MBPはこれらのメプリンの働きを抑制することにより、がんの組織浸潤、転移活性抑制効果を持つ可能性が示された。
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Research Products
(3 results)