2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14083208
|
Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
秋道 智彌 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (60113429)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神松 幸弘 総合地球環境学研究所, 研究部, 助手 (20370140)
梅津 千恵子 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (40294251)
野中 健一 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (20241284)
池谷 和信 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (10211723)
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 助教授 (60214772)
阿部 健一 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (80222644)
口蔵 幸雄 岐阜大学, 地域科学部, 教授 (10153298)
|
Keywords | 共同体資源管理 / コモンズ / 小規模消商品生産 / グローバル経済 / 対応力(resilience) / 強制と自発 / 民俗知 / 国家政策 |
Research Abstract |
本年度は、極北(チュコト半島、カナダ)、熱帯・亜熱帯(メコン河流域、東チモール、トンガ諸島、南インド)などの地域で現地調査を実施した。 1.独立後間もない東チモールにおけるコーヒーの輸出、トンガ諸島における電力の利用・漁港整備などの近代化、カナダ・ケベック州のイヌイットにおける海域権の国家による制限、ロシア・チョコトにおけるホッキョククジラの捕獲制限、メコン河における中国貿易の拡大による小規模漁業の衰退など、グローバル経済の浸透や世界的な資源利用の規制に呼応して、地域社会の資源利用が大きな影響を受けつつあることが分かった。このことは、急速に変化する経済・社会条件に応じて、地域住民がいかに資源利用に対応しているかを探ることの重要性を如実に物語っている。 2.地域住民の、その対応は各地域により異なっている。南インドでは社会階層の適応力の相違として反映している。ロシアでは国家管理とは異なる独自の管理・資源分配が実践されており、カナダでは地域と国家の対立構造が露呈している。タイにおける地域住民は多国籍的なメコン開発計画のなかで、地域独自の保全やNGO活動を展開している。同様な状況は、独立後、新たな動きを始めたチモールにおいても顕著に見られ、グローバル経済の浸透のなかで、小規模なコーヒー栽培を生活の向上に向けて活かすための運動が進行している。 3.こうしたグローバル化のなかで、地域独自の民俗知を通じた資源管理や所有慣行が育まれてきた。タイのメコン河支流域の調査から、民俗知力と科学的な知識とのズレを検証するための調査を行い、一定の知見を得たので、今年度も継続してより詳細な資料を収集したいと考えている。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] C.Umetsu, U.Chakravorty: "Basinwide water management : a spatial model"Journal of Environmental Economics and Management. 45(1). 1-23 (2003)
-
[Publications] C.Umetsu, T.Lekprichakul, U.Chakravorty: "Efficiency and technical change in the Philippine rice sector : a Malmquist total factor productivity analysis"American Journal of Agricultural Economics. 85(4). 943-963 (2003)
-
[Publications] K.Ikeya editor: "Reindeer pastralism among the Chukchi"Chukotka Studies (Chukotka Studies Committee, Japan). No.1. (2003)
-
[Publications] K.Ikeya: "Historical changes in reideer herding by the Chkchi and preservation of the identity"Senri Ethnological Studies. No.66. 269-278 (2004)
-
[Publications] 秋道 智彌: "野生生物の保護政策と地域社会-アジアにおけるチョウとジュゴン"地域環境問題の人類学(池谷和信編)(世界思想社). 230-250 (2003)
-
[Publications] 岸上 伸啓編: "海洋資源の利用に関する人類学的研究"国立民俗学博物館調査報告. 46. (2003)
-
[Publications] 岸上 伸啓: "狩猟採集民社会における食物分配の類型について-「移譲」、「交換」、「再・分配」"民族学研究. 68(2). 145-164 (2003)
-
[Publications] 池谷 和信: "山菜採りの社会誌-資源利用とテリトリー-"東北大学出版会. 204 (2003)