2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14083208
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
秋道 智彌 総合地球環境学研究所, 研究部, 教授 (60113429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野中 健一 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (20241284)
梅津 千恵子 総合地球環境学研究所, 研究部, 助教授 (40294251)
阿部 健一 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (80222644)
池谷 和信 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (10211723)
岸上 伸啓 国立民族学博物館, 先端人類科学研究部, 教授 (60214772)
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Keywords | 生態史 / 合意形成 / 資源保全 / なわばり制 / コモンズ / リスク回避機構 / 公と私の入れ子構造 / 人間中心主義 |
Research Abstract |
平成17年度は、海外調査とともに、海外でのワークショップ、国内での研究集会を中心とした研究活動を実施した。 1.調査研究: カナダ、ロシア・チュコト半島、ラオス南部、インド南部、中国雲南省などにおいて現地調査を前年度に引き続いて実施した。インド南部ではスマトラ島沖津波によって被災した地域における資源復興、土地利用などについての調査を実施した。カナダ、チュコト半島などの極域における海生大型動物の狩猟をめぐる資源管理では、国の捕獲割り当て政策と現地住民の対応のズレが問題となっており、今後の合意形成が重要であることが明らかとなった。ラオスではメコン河支流域での魚類保全区をめぐる新しい住民本位の活動が開始されており、魚のためだけでなく人間のくらしと資源保全を両立させる注目すべき試みとして評価したい。中国の怒江では世界自然遺産、固有種の保全、少数民族の生活と文化などの維持と、ダム建設の是非論が焦眉の課題となっている。国家政策と住民や生態系の保全の問題を考える新しい枠組みの必要性を指摘したい。 2.海外ワークショップ: 平成17年6月23日、中国雲南省昆明にある雲南大学において、日本人の研究者による研究発表と討論を基調とするワークショップ「生態史研究の現在」を開催した。これには日本人研究者5名が発表し、中国人研究者との間で日本における研究の特質と問題点について討議した。 3.研究集会 平成17年10月8日、「資源と人」と題する研究集会をもち、若手の資源研究者5名の発表と、教授クラスのコメント7件を含む発表を行なった。80名もの参加者があった。 平成17年10月22日には、カリフォルニア大学のA.Tsing教授を招聘し、講演会と午後は、「野生植物資源利用の歴史と生態:アジア的視点」と題するシンポジウムを開催した。アメリカと日本とで研究の視座が異なる点、日本の資源研究の利点などについて活発に討議をおこなった。 4.研究成果発表 前年度に実施した一連の研究集会の報告書として、コモンズ研と生態史班との合同による研究発表の報告書を刊行した。 今年度は、若手の研究者を組み込んで生態史班の研究を広く展開することに重点をおいた研究を実施し、着実な成果をあげた。最終成果物の公刊に向けて、これまで参加してきた若手研究者に論文を執筆願うための研究会を3月に実施した。
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Research Products
(24 results)