Research Abstract |
我々は,ASK1の活性化機構の解明を目的に,ASK1をbaitとした酵母two-hybridスクリーニングを行った。その結果,新たにASK1と非常に相同性の高いセリン/スレオニンキナーゼをコードする遺伝子を同定し,ASK2と命名した。ASK2を特異的に認識するモノクローナル抗体を作製し,様々な培養細胞における発現を検討したところ,ASK1ノックアウトマウス由来の各種細胞でASK2の発現が著しく減少していることが明らかとなった。ASK1ノックアウトマウス由来細胞におけるASK2の発現はプロテアソーム阻害剤投与によって回復することなどから,ASK2はASK1と細胞内で複合体を形成することで,プロテアソームによる分解から免れて安定して存在することが強く示唆された。さらにASK2は,ASK1との複合体を形成した状態で,初めてMAP3Kとしてのキナーゼ活性を示し,過酸化水素などの酸化ストレスに対する反応性も示すようになることも明らかとなった。一方ASK2は,ASK1のキナーゼ領域内の特定のスレオニン残基をリン酸化することでASK1を活性化することも分かり,両者が互いの活性を上昇させる機構が存在することが示唆された。実際,内在性ASK2のノックダウン実験によって,ASK2がASK1とともに酸化ストレスによる下流MAPキナーゼ経路の活性化に必要な分子であることも確認された。現在,ASK1の活性化を制御する分子として,ASK2が生体内においてどのような機能をもつかを明らかにすることを目的に,ASK2ノックアウトマウスの作製および表現型解析を進めている。
|