2005 Fiscal Year Annual Research Report
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14087202
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡田 典弘 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 教授 (60132982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 正勝 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (90323807)
高橋 一彦 自然科学研究機構基礎生物学研究所, 助手 (40302955)
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Keywords | シクリッド / 種形成 / 視覚 / 嗅覚 / 額部 / 多様化 |
Research Abstract |
(1)本年度、第2、第3回目のビクトリア湖シクリッド調査を行った。平成17年6月から8月にかけて、さらには平成18年1月から3月にかけて、タンザニアのムワンザ湾において採集・調査を行い約3000個体のサンプルを収集した。(2)シクリッドにおける種分化の際にどのような分子レベルの現象が起こっているか明らかにするために、視覚遺伝子LWSとその周辺領域の配列を種間で比較し、集団遺伝学的解析を行った。その結果、集団が分かれる際にLWSに分断選択圧が働いていたことが明らかとなった。よってビクトリア湖シクリッドの種形成に視覚が重要な働きをしてきたことが示唆された。(3)シクリッドが視覚のみならず嗅覚認識を通じて同種を判別し、同所的な種分化が促進されている可能性を明らかにすべく、嗅覚受容体V2R遺伝子群を網羅的に単離し、種間で比較した。その結果、ある遺伝子において種特異的と考えられるアミノ酸の違いが発見され、この変異がビクトリア湖産シクリッドにおける嗅覚を用いた同種認識を可能にさせ、同所的な種分化に至った可能性が強く示唆された。(4)シクリッド種間の顎部形態多様化への候補遺伝子として、いくつかのヒト遺伝病関連遺伝子を挙げそれらの顎部における発現をqPCRを用いて比較した。その結果、magp4遺伝子において種間での発現が異なり、この遺伝子が顎部形態の多様化に関与している可能性が示唆された。(5)種特異的な多様化が著しい膜性骨を中心として顎部骨格形成過程を解析することを目的に、ナイルティラピアOreochromis niloticusを用い、発生ステージ記載および組織学的解析をおこなった。発生ステージONSt.17で顎部領域の軟骨の凝集・分化が開始し、ONSt.18で類骨Osteoidと呼ばれる基質が将来膜性骨が形成される部位に沈着し、顎骨の骨化が開始することが明らかになった。ヴィクトリア湖産シクリッドを用いた進化発生学的解析をおこなう上での重要な基礎データが得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Parallelism of amino acid changes at the RH1 affecting spectral sensitivity among deep-water cichlids from Lakes Tanganyika and Malawi.2005
Author(s)
Sugawara, T., Terai, Y., Imai, H., Turner, G.F., Koblmuller, S., S
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences USA 102
Pages: 5448-5453
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[Journal Article] cimp1, A Novel Astacin Family Metalloproteinase Gene from East African Cichlids, Is Differentially Expressed Between Species During Gr2005
Author(s)
Kijimoto, T., Watanabe, M., Fujimura, K., Nakazawa, M., Murakami
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Journal Title
Molecular Biology and Evolution 22
Pages: 1649-1660