2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14087204
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
荻原 保成 京都府立大学, 農学研究科, 教授 (40185533)
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Keywords | 倍数性コムギ / 種分化 / ミトコンドリアゲノム構造 / ゲノムの複雑性 / 組み換え / 核・細胞質雑種 / ミトコンドリアゲノムの伝達 / 花粉からのmtDNAの伝達 |
Research Abstract |
コムギは倍数化により進化してきたことを特徴とする。パンコムギは倍数化する際、異種間の異なるゲノムを組み合わせた(異質倍数性:ゲノム式AABBDD)。本研究は、倍数性コムギとその祖先種をモデルシステムとして、遺伝子の構造と環境に応答した遺伝子発現パターンをゲノム生物学的に解析する。また、新たに交雑により、人工倍数種を作成し、倍数化の過程における遺伝子構造と発現調節機構を分子遺伝学的に解析する。これらの解析により、植物ゲノムの倍数化による種形成の分子機構を研究する、ことを目的とする。 本年度はコムギ属の異種間交雑により、ミトコンドリアゲノムがどのように後代に伝達されるか、また核・細胞質雑種におけるミトコンドリア(mt)が支配する花器官のホメオティック変換により、種が形成される可能性について考察した。 1)コムギにおけるミトコンドリアゲノムの遺伝情報を把握するために、パンコムギChinese Spring(CS)のマスターサークルDNAの全塩基配列を決定した。CSの実生よりmtDNAを単離し、コスミドにクローニングした。報告されているミトコンドリア全遺伝子をプローブとしてコスミドライブラリをスクリーニングし、挿入DNA断片の塩基配列を決定した。CSのmtDNAは全長452528bpの環状分子であった。直鎖および逆位反復配列を介した分子内組み換えにより複雑な分子が生ずることを証明した。他のイネ科植物であるイネ、トウモロコシのmtDNA構造と比較してみるとほとんどシンテニーがみられなかった。イネ科植物におけるミトコンドリアゲノム構造の超可変性が示された。 2)核・細胞質雑種コムギにおけるミトコンドリアゲノムの伝達様式を調べた。異種間交雑により花粉からのミトコンドリアゲノムの伝達を実証した。コムギにおけるミトコンドリアゲノムの複雑な伝達様式を解明し、種形成への寄与を示唆した。 3)光受容体であるフィトクロームCの遺伝子構造を3種ゲノムで比較した。同遺伝子のプロモーター構造が3種ゲノムで異なっており、新たな遺伝子発現調節システムの存在が示唆された。
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Research Products
(3 results)