2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14102004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 教授 (00111914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 靖 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20206569)
白水 徹也 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (10282716)
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (70162386)
川崎 雅裕 東京大学, 宇宙線研究所, 教授 (50202031)
樽家 篤史 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (40334239)
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Keywords | 宇宙論 / 超新星 / 宇宙線 / 重力理論 / 素粒子的宇宙論 |
Research Abstract |
平成18年における主な研究成果は以下のとおりである。 1.ブレーンワールド宇宙モデルにおいて形成される原始ブラックホールの蒸発から放出される光子、反陽子を観測と比較し、インフレーションにより生成される揺らぎについての制限を求めた。 2.再結合時刻以前のバリオンと光子の相互作用が、低赤方偏移における銀河分布のパワースペクトルに残すバリオン音響振動の位置を摂動論および数値シミュレーションを用いて定量的に推定した。また、銀河団内ガスの密度・温度ゆらぎの確率分布関数が対数正規分布でよく記述できることを発見し、その観測的意義について考察した。 3.超重力理論・超弦理論ではモジュライ場と呼ばれる軽いスカラー場が存在し、大きな宇宙論的問題を引き起こす(モジュライ問題)。電弱スケールでエントロピー生成があればモジュライは薄められて宇宙論的問題を避けることができる。しかし、この場合宇宙のバリオン数も薄められてしまうという新たな問題が生じる。そこで、アフレック・ダイン機構を用い電弱スケールでバリオン生成を行うモデルを考え、詳細な数値計算でモジュライを薄めてかつ十分なバリオン数を生成することを明らかにした。 4.インフレーション宇宙で非ガウス的揺らぎが生成される具体的なモデルとして,カーバトン・シナリオでの非ガウス揺らぎの統計性を評価し,そのCMB揺らぎへの影響を明らかにした。また,余剰次元2のブレーン世界における余剰次元体積の安定性を議論し,場の量子効果が安定化にとって本質的であるという結論を得た。 5.宇宙論的揺らぎ起源の磁場の生成をトムソン散乱に対する強結合近似を用いてフルオーダーで解析を行い、生成される磁場を評価した。 6.スペース干渉計による将来観測を念頭に、背景重力波の全天強度分布(スカイマップ)を再構築するための数値解析手法を編み出し、スペース干渉計LISAを用いた場合のスカイマップ再構築の角度分解能について議論した。また、非ガウス的な雑音がある時の背景重力波の検出方法についても考察し、あるクラスの非ガウス雑音については、従来使われている統計推定量の簡単な拡張でほぼ最適な効率でシグナルの検出ができることがわかった。
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Research Products
(30 results)