2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造・超高速現象の解析・制御と次世代新機能素子開発への展開
Project/Area Number |
14102011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
重川 秀実 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (20134489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井川 治宏 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (60223715)
保田 諭 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 研究員 (90400639)
寺田 康彦 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 研究員 (20400640)
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Keywords | STM / 超短パルスレーザー / フェムト秒時間分解 / 超高速現象 / 新奇機能素子 / ナノテクノロジー / 走査プローブ顕微鏡 / トンネル効果 |
Research Abstract |
これまでに、フェムト秒レーザーによる光学的なポンププローブ法と走査トンネル顕微鏡を組み合わせることで、サブピコ秒領域の緩和過程をトンネル電流で計測することに初めて成功している。トンネル電流は局所的な情報を与えるので、同手法により、時間・空間両領域で極限的な分解能を達成することができる。しかし、一方で、トンネル電流では様々な緩和過程をあわせた信号を測定することと、トンネル電流と内部の過程の間には非線形な関係があるため、通常のデータだけから試料内部の詳細な過程を分離して解析することは難しい。例えば、GaAs試料では、800nmの波長の励起光を用いると、光学的なポンププローブ法では20psと500ps程度の緩和過程が観られるが、トンネル電流の計測結果に現れる100ピコ秒辺りの緩和過程を説明することができなかった。 今回、新しく導入した波長可変レーザーを用い、例えば、900nmの波長で励起して実験を行うことで、バンド内緩和過程の寄与を除去し、上記信号がバンド間遷移の過程に対応する情報を与えていることの同定に成功した。 他に、遅延時間制御の仕組みを改良して、より幅広い寿命の測定が可能となるシステムや、波長を変化させた際に生じる光軸のずれを自動補正する仕組みの構築を進めており、安定した精度の高い計測が可能となってきている。 以上、本年度の研究により、試料の特定準位間での電子遷移を選択的に励起することで、対象とする過程を選択的にねらい打ちし、複雑な緩和過程を素過程に分解して解析することが可能となった。今後の更なる展開が期待される。
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Research Products
(9 results)