2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ構造・超高速現象の解析・制御と次世代新機能素子開発への展開
Project/Area Number |
14102011
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
重川 秀実 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (20134489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大井川 治宏 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (60223715)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 超短パルスレーザー / 超高速現象 / ナノテクノロジー / フェムト秒 / ポンププローブ法 |
Research Abstract |
前年度までに(1)機械的な光路長を延ばし、(2)光軸の自動補正を行うシステムを開発する、などの改良を行うことで、より安定した測定を行う「時間分解STM」を開発してきたが、まだ充分とは言えなかった。本年度、新しく「パルスピッキング」と呼ばれる方法を導入することで、フェムト秒光パルス列の中の任意の2つのパルスを選択し、両者の間の遅延時間を制御することでポンププローブ測定を行うシステムを開発した。同手法により時間分解トンネル電流信号のS/N比を100倍改善することに成功し、これまで測定することのできなかった微弱な信号を計測することが可能となった。同じ信号で有れば1/100の時間で測定することができることを意味している。また、機械的な光路差制御とは異なり光軸のずれを引き起こすことなく、長い遅延時間を持たせることも可能となった。これら改善により、(1)フェムト秒からマイクロ秒に渡る広範な過渡現象を対象として、(2)迅速な計測を行うことを可能とする 新しい装置が完成した。両特性により、ナノスケール領域で構造を持つ試料を対象とした時間分解信号の空間マッピングなど、本プロジェクトで目的とした「時空両領域で極限的な分解能を持つ新しい顕微鏡」を開発する目的を達成した。中間審査の際に配分された追加予算で導入した波長可変レーザーをあわせて用いることにより、例えば、AlGaAsとGaAsのように、異なるバンド構造を持つ半導体から成る超構造を対象として、物理過程を議論することが可能な実験を進めることもできるようになった。本結果は、STMの発明以来、多くの第一線の研究者が試みながら実現することがかなわなかった一歩を記したものといえる。
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Research Products
(13 results)