2002 Fiscal Year Annual Research Report
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
Project/Area Number |
14102013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
坂本 直人 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10282592)
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
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Keywords | 分子緩和現象 / フォノンスペクトルコピー / 高分解能光散乱法 / 液晶相転移 / 並進・回転結合 / 光カー効果 / マウンテン成分 |
Research Abstract |
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他、分子内振動や回転運動にも分配される。これらの自由度間にはカップリングが生じ、これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている。 本研究は、新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して、振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする。本年度は連続波レーザー励起光カースペクトロスコピー装置と高分解能ブリュアン散乱装置の高性能化を図り、液晶等方相における分子の並進運動と回転運動の結合輸送係数の定量測定を行った。配向のオーダーパラメーターと局所的な流動場が結合する複雑流体においては、分子の配向緩和スペクトルがその効果により中央部にディップを持った特異な形状となって現れる。これを精度よく測定することにより、結合の強さを表す輸送係数の値を定量的に決定することができる。同時に液体における分子配向緩和時間を、その分子形状から求める理論的考察を行った。 またフォノンが分子の内部自由度とカプリングしながら伝搬することにより生じると予測されるマウンテン成分の観察に成功した。酢酸についての測定結果は過去の超音波による実験結果とよく一致し。測定システムの有用性を確認することができた。これにより弾性緩和のスペクトルを光散乱によって迅速に測定することが可能となった。 さらに強い粘性緩和現象を示すガラス転移系の物質について高分解能動的光散乱法により、その構造因子を詳しく観察した。その結果、通常のように波動として伝搬しない音響モードの密度変調ゆらぎを見出した。このようにガラス転移近傍における詳細な構造因子の観察は、今後その転移メカニズムを探る上で重要な情報をもたらすと期待できる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Osamu Kanda, Keiji Sakai, Ken Yamamoto, Kenshiro Takagi: "Observation of Acoustic Diffusion Wave"Japanese Journal of Applied Physics. 41. 5686-5689 (2002)
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[Publications] T.Watanabe, T.Kudo, M.Hosoda, M.Miyayama, K.Sakai: "Ultrasonic and Ligiht Scattering Characterization of Anisotropic Colloidal Particles in Sol"Japanese Journal of Applied Physics. 41. 3157-3158 (2002)
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[Publications] Ken Yamamoto, Akira Kokubo, Keiji Sakai, Kenshiro Takagi: "Estimation of Nonlinear Piezoelectricity of _<0.5>PB(Ni_<1/3>Nb_<2/3>)O_<3-0.35>PbTiO_<3-0.15>PbZrO_3"Japanese Journal of Applied Physics. 41. 232-236 (2002)
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[Publications] Takashi Watanabe, Masaru Miyayama, Keiji Sakai: "Application of morphological evaluation by optical and ultrasonical technique to V_2O_5 sol"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 27. 711-714 (2002)