2003 Fiscal Year Annual Research Report
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
Project/Area Number |
14102013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
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Keywords | 分子緩和現象 / フォノンスペクトロスコピー / 高分解能光散乱 / 液晶相転移 / 並進・回転結合 / 光カー効果 / マウンテン成分 |
Research Abstract |
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他、分子内振動や回転運動にも分配される。これらの自由度間にはカップリングが生じ、これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている。本研究は、新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して、振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする。 本年度は連続波レーザー励起光カースペクトロスコピー装置と高分解能ブリュアン散乱装置を用いて液晶における第3のパラメータである分子配向秩序と流動場とのカプリング定数を様々な分子種について定量的に調べる試みを進めた。その結果、この結合定数が分子形状の異方性すなわちアスペクト比に大きく依存していることを明らかにした。さらにこの結果を理論的に検証するために、分子動力学を用いた配向ゆらぎと分子拡散の相関計算を行い、自由度間結合の起源を分子レベルで探究する試みを行った。 また液晶転移における結合運動の詳細な様子を光散乱法によって追跡した。その結果、配向と並進拡散の間の結合が液晶転移の擬似臨界点に向かって消滅する様子を捉えることがきた。これを新たに作製した表面波励起分子配向法で検証し、液晶の持つすべての輸送係数の温度依存性を調べた結果、この異常性が配向と拡散の結合粘性に寄与することが明らかとなった。 また分子が自己組織化的に会合して形成する巨大分子集合体について、その形態変化とマクロな光学的異方性の相関を調べた。その結果、分子配向に起因する光学的異方性が空間的に伝搬するという興味深い現象が観察され、これらの系についても複数自由度間に強い相関の生じることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sakai K, Hosoda M, Takagi K: "Observation of molecular orientation induced by capillary wave"JPN J APPL PHYS 1. 42:(5B). 2935-2938 (2003)
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[Publications] Sakamoto N, Sakai K, Takagi K: "Applicability of the mean-field theory to the optical Kerr effect in the isotropic phase of liquid crystal induced by a continuous wave laser"JPN J APPL PHYS 1. 42:(4A). 1715-1716 (2003)