2004 Fiscal Year Annual Research Report
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
Project/Area Number |
14102013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
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Keywords | 分子緩和現象 / フォノンスペクトロスコピー / 高分解能光散乱 / 液晶相転移 / 並進・回転結合 / 光カー効果 / マウンテン成分 |
Research Abstract |
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他、分子内振動や回転運動にも分配される。これらの自由度間にはカップリングが生じ、これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている。本研究は、新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して、振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする。 本年度は分子の集団的な配向秩序と、流動場が動的にカップリングする様子から自由度間の相互作用を調べる新しいスペクトロスコピー手法となる四重極流動複屈折測定システムを新たに開発した。これにより0.1-1MHzという広い帯域にわたる分子回転の素過程を測定することが可能になった。この成果は、これまで比較的大きな分子やミセルなどの分子集合体でのみ可能であった配向緩和スペクトル測定の領域を低分子の液晶系までその対象を広げた、という観点から有意義なものである。 また本研究において開発された光ビート分光・結合モード光散乱装置のさらなる高性能化をはかった。光学系の最適化や信号処理系の低ノイズ化を進めた結果、これまで散乱光強度がきわめて微弱なため測定が困難であった固体材料や希薄ガスについてもブリュアンモードや熱拡散モードの測定を可能にした。さらに引き続き、高分解能光散乱測定でのみ可能な熱フォノン共鳴現象を捉えることにより、分子物性測定の高精度化を進めた。これにより非破壊・非接触という熱フォノン測定の利点を生かしながら、その精度が超音波計測に匹敵するフォノン伝搬測定手法を確立することに成功した。
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Research Products
(2 results)