2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子振動励起・回転誘起の素過程を探る結合モード光散乱スペクトロスコピーの構築
Project/Area Number |
14102013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高木 堅志郎 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 啓司 東京大学, 生産技術研究所, 助教授 (00215584)
美谷 周二朗 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (10334369)
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Keywords | 分子緩和現象 / フォノンスペクトロスコピ / 高分解能光散乱 / 液晶相転移 / 並進・回転結合 / 光カー効果 / マウンテン成分 / ミセル系 |
Research Abstract |
多原子分子よりなる凝縮系においてエネルギーは分子の並進自由度の他、分子内振動や回転運動にも分配される。これらの自由度間にはカップリングが生じ、これがソフトマテリアル系における複雑な物性発現に寄与していることが知られている。本研究は、新開発の光ビート分光振動緩和スペクトロスコピーと相関光誘起カー効果スペクトロスコピーとを柱とする独創的解析スキームを確立して、振動・回転の分子ダイナミクスを可視化し解明することを目的とする。 本年度は、流体の並進流動運動と分子の回転運動がカップリングする様子を調べる四十極流動複屈折法を用いて、界面活性剤分子が溶液中において形成するひも状の分子集合体の配向オーダーと溶液のずり粘弾性緩和現象との関連を調べた。その結果、ミセル絡み合い系の粘弾性緩和により出現するずり弾性率と、紐の回転粘性の双方が競合することにより生じる、特異な緩和スペクトルを発見した。四重極のサイズ依存性を調べることによってこの両者を分離して定量測定することができる。この結果は従来から研究されてきたミセル系の振動型配向緩和のメカニズムを解明する成果である。 また表面の熱的な振動モードの高分解能光散乱測定により、物質の粘性を非接触で測定する方法を開発した。さらに現有の光散乱スペクトロスコピーのさらなる高精度化を図り、温度に加えて圧力を広い範囲で走引できる試料セルを開発した。これにより、高密度極限において圧力・周波数換算側を確認することが可能になる。
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Research Products
(4 results)