Research Abstract |
平成16年度における研究成果の概要を線材,集合導体,コイルに関する事項について以下に示す. 1.線材に関して ・Bi系線材について,引張り応力下での交流通電損失の測定を開始した.Bi系線材は伸び歪みが0.2%程度までは臨界電流I_cの低下がほとんどなく,この範囲では交流通電損失の引張り応力依存性はほとんどない.しかし,歪みが0.2%を超えると急激なI_cの低下が生じ,交流損特性の様相が歪みがない場合に比較し大きく変わることがわかった. ・Y系線材について,交流磁化損を低減させる方法として擬似ツイスト導体構造を提案しているが,モデル導体を試作し磁化損が大幅に低減することを実証した. ・Y系線材の交流通電損および磁化損の実測値が解析式と乖離する原因として,面臨界電流密度δ_cの幅方向の不均一さによるものとして解析を行った,その結果,通電損失測定結果より推定したδ_c分布を元に計算した磁化損失特性は実測値とよく一致することが明らかとなった. 2.集合導体に関して ・Bi系銀シース線材を平面に並べ,隣接導体の作る磁界の影響下での交流通電損失特性を調べた.この結果,両側に隣接導体がある場合には,その磁界の影響で,50%を超える損失の低減があることがわかった. ・テープ線材を円筒型のコアにスパイラル状多層に巻き付けた場合の交流通電損失を解析し,スパイラルのよりピッチと交流損失との関係を調べた.よって,交流損失を最小にするスパイラルのよりピッチを求めた. 3.コイルに関して ・線材でコイルを構成した場合,線材は曲げ応力を受ける,Bi系線材について,曲げ歪みを加えた状態での通電損失および全損失を測定した.その結果,曲げ歪みによりI_cは低下するが,曲げ歪みに対応したI_cで損失を正規化すれば,曲げ歪みがない場合と同様な特性曲線が得られることがわかった.よって,曲げ歪み下のI_cを測定すれば交流損失の曲げ歪みの影響が評価できることがわかった.
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