2006 Fiscal Year Annual Research Report
SiGe基板単結晶の低欠陥化と歪みを制御した機能性ヘテロ構造の創製
Project/Area Number |
14102020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中嶋 一雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80311554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 徳隆 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (20262107)
宇治原 徹 名古屋大学, 大学院工学系研究科, 助教授 (60312641)
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (50125580)
宇田 聡 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (90361170)
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Keywords | シリコンゲルマニウム / バルク結晶 / 歪みシリコン / 共鳴トンネル / InGaAsN |
Research Abstract |
SiGeバルク結晶を基板化し、歪みSiおよび歪みGe薄膜結晶のエピタキシャル成長を試みた。Si_<0.9>Ge_<0.1>バルク基板上の歪みSi中の二次元電子ガスの室温での移動度は、1.9×10^3cm^2/Vsと大きな値を示し、バルク基板利用による構造完全性の優れた歪みSi薄膜結晶実現による移動度の増加を実証した。 Si_<0.1>Ge_<0.9>バルク基板上に二重障壁共鳴トンネルダイオード構造を成長し、メサ型ダイオードを作製し、特性評価を行った。その結果、SiGe系でp型の2次元状態の共鳴トンネルとして、これまでの報告で最も高いピークバレー比が得られた。また、メサのサイズに依存せず大きなピークバレー比が得られ、室温でも共鳴効果は明瞭に観測された。このような安定動作は、構造完全性の優れたヘテロ構造の実現による非共鳴電流の減少と、量子準位のブロードニングの抑制により実現されたと考えられる。 Si_,0.92>Ge_<0.008>バルク基板上に、歪みSi薄膜と歪みGe薄膜が隣接する量子構造を成長し、その特性を、同時に成長を行ったSiGe疑似基板の試料と比較した。フォトルミネッセンス測定では、SiGe擬似基板上の試料では、深い準位に転位起因の発光が見られたのに対し、SiGeバルク基板上の試料では、転位からの発光のない明瞭なバンド端発光が得られ、電子物性だけでなく、光物性の発現に対してもSiGeバルク基板は有用であることを示した。 またInGaAsバルク基板を利用して、GaAs基板では得ることが困難な光通信用長波長帯にバンドギャップを有するInGaAsN薄膜結晶の実現にも成功した。 以上の結果により、全率固溶型状態図を有する多元系バルク単結晶を基板として、歪みが精密に制御され、構造完全性の優れた良質なヘテロ構造が創製可能であること、更に、高性能デバイスの基盤となるような、従来にない優れた物性の発現可能であることを示した。
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Research Products
(11 results)