2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14103005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 昭子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50011705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 絵美子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (30361562)
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Keywords | 中性単一分子性金属 / 分子性伝導体 / ジチオレン錯体 / 反強磁性相転移 / 混晶 |
Research Abstract |
本年[Au(tmdt)_2]の相転移の詳細を検討するため合成法の改良を行った結果、[Au(tmdt)_2]の小さな単結晶と高純度の均質な粉末試料が得られた。高純度加圧成形試料の室温伝導度は50S-cm^<-1>と、既報の3倍程度の値を示した。2-300K、様々な磁場(3-50kOe)下での多結晶試料の静磁化率の温度依存性と磁化の磁場依存性を調べた。その結果、110Kに分子性結晶では例のない高い反強磁性相転移温度が観測され、相転移のスピンフロップ磁場は23kOe、反強磁性相転移により生じる磁化は0.3μ_Bと見積もられ、相転移後もFermi面が15%程度残っていると推測された。[Ni(tmdt)_2]と[Au(tmdt)_2]は同形の結晶構造を持つが、電子状態は異なるので、両者の混晶系を合成した。一連の合金系[Ni_<1-x>Au_x(tmdt)_2](0<x<1)の黒色微結晶は、前駆体(Me_4N)_2[Ni(tmdt)_2]と(^nBu_4N)[Au(tmdt)_2]の仕込み比を変えて電解酸化し合成した。大型放射光施設SPring-8での粉末X線回折実験から、Auの混入量(x)の増加に伴い、回折ピークが系統的に低角側にシフトし、[Ni_<1-x>Au_x(tmdt)_2](0<x<1)合金系の生成が確認できた。x=02,0.4,0.6,0.8の錯体の加圧成形試料の室温伝導度は10-40S・cm^<-1>で、xの減少に伴い伝導度が上昇した。またx=0.25の単結晶試料の室温伝導度は180S・cm^<-1>で、低温まで金属的伝導挙動を示した。多結晶試料の室温静磁化率は2〜3 x 10^<-4>emu・mol^<-1>で、組成により値は異なるが、50〜300Kでほぼ一定の値を示し、Pauli常磁性的な挙動を示した。多結晶試料のESRシグナルの強度と線幅の変化から、xの減少に伴い磁気相転移温度は低温側にシフトし、x=1.0,0.8の錯体でそれぞれ110K,60K付近であることが分かった。
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Research Products
(14 results)