2005 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属を活用したプログラム分子集合:ナノ領域物質群の創出と機能発現
Project/Area Number |
14103014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90209065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 正規 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (30247217)
吉沢 道人 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (70372399)
佐藤 宗太 東京大学, 大学院工学系研究科, 助手 (40401129)
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Keywords | 自己組織化 / ナノ領域 / Pd(II)錯体 / 大環状錯体 / プリズム状錯体 / チューブ状錯体 / トリアジン環合成 |
Research Abstract |
本研究では、精密設計された有機分子と金属イオンが錯形成により自己組織化し、ナノ領域に達する巨大構造体を構築し、さらに生体分子に匹敵する機能を発現する、「自己組織化分子システム」の創出を目指している。以下に、本年度の研究成果を述べる。1)オリゴピリジル基を有する短冊状配位子とシス位で保護したPd(II)錯体との自己組織化により組み上がる3.5nmのチューブ状錯体に、1分子のテトラチアフルバレンダイマーが効率良く包接され、しかも、外部からの電気化学的刺激によりに、包接分子がチューブ内で特異的に出入りすることを見出した。この挙動は、3.5nmのチューブ構造に起因した特異な現象である。2)一本の紐状分子の末端に二つの輪を導入した手錠型の錯体を合成し、それが溶液中で、溶媒の極性を変えるだけでカテナン化し、二量体が選択的に生成することを見出した。このことは、骨格原子238個からなる超巨大環状構造をワンステップで合成したことになる。3)2枚のパネル状配位子と3つの直線状二座配位子と6つのPd(II)錯体から組み上がる多成分系プリズム状錯体内に、2分子の平面状金属錯体が効率良く集積されることを見出した。内部集積された金属錯体は、プリズム状錯体内でのみ金属-金属相互作用を示すことが明らかになった。また、2分子のテトラチアフルバレンをプリズム状錯体内に集積し、電気化学的に酸化することで、通常の溶液や固体中では観測されない混合原子価状態を安定に観測することに成功した。4)トリアジン環合成を駆動力とした自己組織化により、特異な分光学的性質を示すトリアジンオリゴマーを効率良く合成することに成功した。この成果は、新たな配位子合成等に繋がることが期待できる。
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Research Products
(6 results)