2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14103019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平間 正博 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30165203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大栗 博毅 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80311546)
井上 将行 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70322998)
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Keywords | シガトキシン / CTX3C / 全合成 / 抗体 / タンパク質コンジュゲート / ポリエーテル連結法 |
Research Abstract |
珊瑚礁周辺の魚介類によって引き起こされるシガテラ中毒の原因毒シガトキシン類(CTXs)は、天然からは極微量しか得られず、30〜34個の不斉炭素を持ち、しかも不蝕和8,9員環エーテルを中心にして13個のエーテル環が梯子状に連なった3ナノメーターの分子長を有する巨大分子である。本研究の目的は、シガトキシン類の全合成、抗体作製、イオンチャネル阻害原理解明である。今年度の研究実績は以下の通りである。 1)既に開発した「二環構築型ポリエーテル連結法」を用いて、CTX3C以外の3種の主要シガトキシン類、51-oxy-CTX3C(最強毒と言われている)、54-deoxy-CTX、およびCTXの全合成を目指して、既に合成したCTX3C型の左右二大セグメント2種の大量合成を検討した。特に右HIJKLMセグメントについては、エポキシスルホン合成素子を用いた収束的合成法により、以前よりずっと短工程で立体選択的に合成できるようになった。 2)さらに、新たにCTX型の左右二大セグメント、すなわち、A環にジヒドロキシブテニル置換基を有し、E環が7員環であるABCDE環部、およびM環上に水酸基を有するHIJKLM環部の収束的合成法を開発した。しかし、まだ大量合成には適さない工程が多いので、全合成に向けた改良が必要である。これらの合成研究の迅速化には、反応を追跡解析する備品として購入した、IR反応解析装置が役に立った。 3)新たに合成したCTX型セグメント、すなわち、A環にジヒドロキシブテニル置換基を有するABCD環部、およびM環上に水酸基を有するHIJKLM環部をKLHタンパク質とコンジュゲートにした。マウスに免疫する予定である。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] M.Maruyama, M.Inoue, T.Oishi, R.Oguri, Y.Ogasawara, Y.Shindo, M.Hirama: "Convergent Synthesis of the ABCDE Ring System of Ciguatoxin CTX3C"Tetrahedron. 58. 1835-1851 (2002)
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[Publications] H.Uehara, T.Oishi, M.Inoue, M.Shoji, Y.Nagumo, M.Kosaka, J.-Y.Le Brazidec, M.Hirama: "Convergent Synthesis of The HIJKLM Ring Fragment of Ciguatoxin CTX3C"Tetrahedron. 58. 6493-6512 (2002)
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[Publications] M.Inoue, G.X.Wang, J.Wang, M.Hirama: "Novel Assembly of Cyclic Ethers by Coupling α-Chlorosulfides and Alcohols"Organic Letters. 4. 3439-3442 (2002)
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[Publications] M.Inoue, H.Uehara, M.Maruyama, M.Hirama: "Practical Total Synthesis of Ciguatoxin CTX3C by Improved Protective Group Strategy"Organic Letters. 4. 4551-4554 (2002)
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[Publications] 平間 正博, 大石 徹: "シガトキシン全合成への道のり"現代化学. 373. 55-62 (2002)
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[Publications] 平間 正博: "フグ毒よりコワーイ食中毒シガテラ-毒素の全合成から予防へ"化学と教育(日本化学会). 50(6). 443-445 (2002)
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[Publications] 平間 正博, 大石 徹: "毒素CTX3Cの化学合成から予防へ-世界最大規模の海産物食中毒シガテラ"化学と工業. 55(7). 786-789 (2002)
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[Publications] 平間 正博: "食中毒(シガテラ中毒)の原因毒シガトキシンCTX3Cの化学合成"Medical Science Digest. 28(9). 398-399 (2002)
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[Publications] M.Hirama, T.Oishi 他: "My Favorite Organic Synthesis"有機合成化学協会. 253 (2002)