2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14103019
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平間 正博 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (30165203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 将行 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70322998)
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Keywords | シガトキシン / CTX1B / 全合成 / 抗体 / ビオチンコンジュゲート / 51-HydroxyCTX3C / エポキシ化 / 選択的酸化 |
Research Abstract |
珊瑚礁周辺の魚介類によって引き起こされるシガテラ中毒は、世界最大規模の自然毒食中毒である。その原因毒シガトキシン類は、天然からは極微量しか得られず、13個のエーテル環が梯子状に連なった3ナノメーターの巨大分子である。本研究の目的は、第二世代シガトキシン合成法を更に改良しながら、シガトキシン類の網羅的全合成、抗体作製、イオンチャネル阻害原理解明である。1)シガトキシン全合成における全工程を短縮・改善した全合成法を開発し、CTX3C,51-hydroxyCTX3Cの実践的な供給(数mg)を可能にした。18年度は特に、シガトキシン類の中で最初に構造決定された歴史的なCTX(CTX1B)の合成法の改良を進めた。CTX1Bは、太平洋で発生する食中毒シガテラの主要原因毒として知られてきたが、毒ウツボ4トンから0.3mgしか単離できず、シガテラを評価する標準サンプルとしての利用は不可能であった。我々の実践的合成は、標準サンプルが安定供給できる唯一の方法であり、代表的な太平洋型シガトキシン3種類をすべて合成できた。2)シガトキシンの電位依存性Na^+チャネルに対する結合部位同定のために、シガトキシン自体の誘導化、特にシガトキシン-ビオチンコンジュゲートの合成が必要となった。一般的に、複雑巨大分子への選択的な官能基化は困難であるが、51-hydroxyCTX3Cの4つある水酸基のうち一つだけにビオチンリンカーが導入可能なことを明らかにし、様々なシガトキシン-ビオチンコンジュゲートの合成に成功した。また、抗体を共存させると51-hydroxyCTX3Cのオレフィンを選択的にエポキシ化できること、すなわち、基質の反応制御が可能であることも発見した。
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Research Products
(13 results)