2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物のオキシダティブバーストと生体防御ネットワークの分子生理学的解明と応用
Project/Area Number |
14104004
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
道家 紀志 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (80023472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 博文 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (30240245)
川北 一人 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (90186065)
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Keywords | 植物の生体防御 / オキシダティブバースト / NADPH酸化酵素 / rboh / MAPキナーゼ / 疫病耐性ジャガイモ / PVS3プロモーター / VIGS |
Research Abstract |
植物の感染防御応答の始動と発現を統御するオキシダティブバースト(OXB)を担う酵素のcDNAをジャガイモとNicotiana benthamianaタバコ植物からクローニングし、これを基盤にウイルス誘導性ジーンサイレンシング法(VIGS)によりOXBの発生が感染防御応答に決定的な役割をもつこと、また、感染誘導性のStrbohBおよびNbrbohBの発現制御は上流のMAPキナーゼカスケードが関与することを前年度に示唆したので、本年度はこの情報伝達系に関連し次のことを行った(1)MAPKK(NbMEK1)の活性化によりMAPK(NbMAP1)がリン酸化され,活性化されたNbMAP1によりリン酸化される8つのタンパク質を分離、cDNAをクローニングし、VIGSによりINF-1エリシター誘導性の過敏感反応誘導を抑制する3種のタンパク質を見出した。(2)NO生産酵素の一つである亜硝酸還元酵素の遺伝子NRをVIGSにかけて機能を解析し、NRは過敏感細胞死の発生に部分的に関与することを示した。(3)誘導性のStrbohBを親和性レースの感染でも発現を期待し、その菌の感染に伴って発現するVPS3のプロモーターをGUS遺伝子または常時活性型にアミノ酸を置換したStMEK1^<DD>に連結したキメラ遺伝子を構築し、それぞれをジャガイモにAgrobacteriumの感染を介して形質導入し、形質転換体を作出した。(4)前者では、VPS3プロモーターは親和性疫病菌レースの感染葉で発現し、傷などのストレスや根では発現しないことを確認した。(5)後者では、その親和性レースの感染で、OXBの発生ならびに過敏感反応様応答が起き、耐病性を示した。(6)宿主自身の内部遺伝子を組換え、おそらく全ての親和性レースの感染に対しても過敏感応答が発現すると思われるジャガイモ疫病菌耐性ジャガイモを世界で初めて作出した。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yoshioka, H.: "Nicotiana benthamiana gp91phox homologs NbrbohA and NbrbohB participate in H_2O_2 accumulation and resistance to Phytophthora infestans"Plant Cell. 15. 706-718 (2003)
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[Publications] Yamamoto, A.: "Involvement of nitric oxide generation in hypersensitive cell death induced by elelicitin in tobacco cell suspension culture"J.Gen.Plant Pathol. (印刷中).
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[Publications] Nakane, E: "Elicitation of primary and secondary metabolism during defense in the potato"J.Gen.Plant Pathol. 69. 378-384 (2003)
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[Publications] Yamamoto, A: "Nitrate reductase, a nitric oxide-producing enzyme : induction by pathogen signals"J.Gen.Plant Pathol. 69. 218-229 (2003)
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[Publications] Takemoto, D: "Disease stress-inducible genes of tobacco : expression profile of elicitor-responsive genes isolated by substractive hybridization"Physiol.Plant. 118. 545-553 (2003)
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[Publications] Katou, S: "Functional analysis of potato mitogen-activated protein kinase kinase, StMEK1"J.Gen.Plant Pathol. 69. 161-168 (2003)
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[Publications] 吉岡博文: "宿主植物の抵抗性制御と糸状菌病に対する耐病性強化の展望"植物感染生理談話会論文集 作物の耐病性強化戦略と植物 病原体相互作用の分子機構研究.道家紀志・川北一人・吉岡博文編. 39. 101-110 (2003)
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[Publications] 吉岡博文: "植物の生体防御.島本 功、渡辺雄一郎、拓殖尚志 監修、分子レベルからみた植物の耐病性"秀潤社. 214 (2003)