2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14104005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
祥雲 弘文 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70012036)
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Keywords | 脱窒真菌 / 窒素固定菌 / 亜硝酸塩還元酵素 / 一酸化窒素還元酵素 / フラボヘモグロビン / 好気脱窒 |
Research Abstract |
1.カビ脱窒系の分子機構解明:(1)SSH (subtractive suppression hybridization)という方法を用いて、脱窒条件で特異的に発現するカビ遺伝子の検索を行った。脱窒真菌としてもっとも研究の進んでいるFusarium oxysporumおよびCylindrocarpon tonkinenseを選んだ。その結果、多くの遺伝子が2種のカビで得られたが、両者で共通して脱窒条件で発現したものは、銅含有型亜硝酸塩還元酵素(NirK)遺伝子nirKおよび、NOジオキシゲナーゼ活性を持つフラボヘモグロビン(Fhb)のみであった。従ってNirKおよびFhbはカビ脱窒に関わっていることが強く支持された。nirKを大腸菌に組込み、発現させ、そのNir活性を精製し、酵素学的諸性質を明らかにした。その結果、細菌のNirKとよく似た性質が示され、脱窒真菌で初めてのオルソログであることが明らかとなった。(2)麹カビAspergillus oryzaeのフラボヘモグロビンFhb2種(Fhb1およびFhb2)の遺伝子をクローニングし、タンパク質を精製し、諸性質を調べた。またそれらの誘導条件を検討した。その結果、Fhb1は既知のものによく似ていたが、Fhb2は全く新しい性質を示した。またその発現条件も従来のものとは異なり、不明である。新規なFhbの生理機能を秘めており、今後の興味深い課題を提供した。(3)NO還元酵素(NOR)であるP450norは多機能酵素としての性質を持ち、NADH-ペルオキシダーゼ、あるいは共脱窒活性を示すことが示されている。本年はP450norのNADH-ペルオキシダーゼ(NPO)活性について、詳細な解析を行った。NPO活性は至適pHが8.5であり、酸性側に至適pHをもつNOR活性とは全く異なっていた。このことから、NPO活性の律速過程は、プロトン放出を伴う、過酸化水素のP450norに結合する(ペルオキソ複合体の形成)過程であることが強く推測され、P450norが過酸化水素添加によりペルオキシダーゼ反応で知られるcompound Iを形成することが強く支持された。 3.放線菌の新規窒素代謝:ゲノム解析の終了したSteptomyces avermitilisを用いて、新規窒素代謝(有機態窒素から硝酸およびアンモニア生成)を解析した。本年はとくに、アンモニア形成を集中して調べた。アンモニアはアルギニンを直接の前駆休として、アルギニンデイミナーゼにより生成することが示され、放線菌が好気条件で嫌気的な発酵を行うという、大変興味深い代謝の存在が明らかになった。 4 新規窒素固定菌の検索:新規窒素固定菌として、Pseudomonas azotifigens sp.nov.を堆肥より単離した。 5.好気脱窒系の構築:好気脱窒細菌と他の微生物の複合培養により、脱窒活性の上昇が観察されていた。放線菌の分泌するプロテアーゼが脱窒細菌の脱窒活性に影響を与えることが判明した。
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Research Products
(6 results)