Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 修 近畿大学, 水産研究所, 教授 (70088657)
宮下 盛 近畿大学, 水産研究所, 教授 (80088658)
滝井 健二 近畿大学, 水産研究所, 教授 (60197225)
田中 克 京都大学, フィールド科学研究センター, 教授 (20155170)
細川 秀毅 高知大学, 農学部, 教授 (40036744)
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Research Abstract |
平成17年度に本プロジェクトの一部がTV放映されたことで,さまざまな分野から多くの関心が寄せられ,全国紙が主催するコンテストで受賞の栄を受けた。また,クロマグロの初期減耗や衝突死の原因解明により,防除法の確立に向けた精力的な検討を開始した。1)成熟・産卵:水温のバラツキが小さく安定した季節変化のもとでは,25℃以上で産卵する確率の高いことが示唆された。また,冬至から産卵までの積算温度はこれまでと同様に4000℃に近かったものの,多少の変動が認められた。その他,成熟雌個体から生殖腺を採取して成熟状況を調べるとともに,成熟に関するホルモンのエストラジオール-17β受容体遺伝子のアミノ酸配列を明らかにするとともに,15日齢からの発現と1・3年齢で各臓器における発現を確認した。2)初期発育・種苗生産:鉛直3m柱状水槽における昼間の仔魚の鉛直分布に大きな差異はなかったが,夜間には個体差が認められ,底層個体の体比重は表層のものより大きかった。また,沈降死対策として通気は有効でなかったが,外部ポンプによる循環方式で鉛直上昇流を形成すると,沈降死を軽減できる可能性が示された。一方,飼育水における炭素経路の解析から,仔魚はワムシとともに渦鞭毛藻類を好んで摂食すること,水槽壁に格子模様を描き夜間照明を実施すると衝突死を少なくできることなども明らかになった。3)栄養素代謝・飼料開発:腸のプロテアーゼ・リパーゼ活性はふ化2日齢から認められ,アミラーゼやアルカリ性ホスファターゼは8日齢から,胃のプロテアーゼ活性は14日齢から上昇した。嗅覚に関しては嗅球の露出による出血が激しく,刺激応答を捉えることはできなかったが,視覚機能は稚魚期まで向上することが分かった。また,飼料のタンパク質/カロリー比は80以下,ビタミンC要求量は肝臓・脳のビタミン含量から,430mg/kg飼料であることが示唆された。
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