Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 修 近畿大学, 水産研究所, 教授 (70088657)
宮下 盛 近畿大学, 水産研究所, 教授 (80088658)
滝井 健二 近畿大学, 水産研究所, 教授 (60197225)
田中 克 京都大学, フィールド科学研究教育センター, 教授 (20155170)
神原 淳 三重大学, 生物資源学部, 教授 (90183334)
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Research Abstract |
平成18年度はこれまでの研究成果による技術改良で,海上生簀に10000尾を超える稚魚の沖出しを可能にしたとともに,稚魚用配合飼料の開発にも初めて成功した。1)成熟・産卵:2003〜2006年に産卵した奄美漁場(鹿児島)では,2003・2004年のみの大島漁場(和歌山)に比べて,水温は2〜5℃高く経日的なバラツキも小さかったことから,産卵は水温環境の違いに影響を受けることが示唆された。一方,液体窒素による精子の凍結保存には,凍結保護材に10%DMSOが,DMSOの希釈にウシ胎児血清が,凍結は毎分-53℃の速度で-50℃まで冷却後,液体窒素に浸漬するのがそれぞれ適していた。アロマターゼ遺伝子は1554塩基,518のアミノ酸残基の翻訳領域を含み,卵成熟の指標として有効であることが示唆された。2)初期発育・種苗生産:多くの消化酵素活性はふ化後2日の仔魚からみられ,10〜15日に急上昇した。ペプシン活性はふ化後14日ごろから上昇し,胃の機能化が他魚種より速いことが示された。底面噴流装置の沈降死防除効果は流量によって違いがみられるが,適正な流量では浮上死もある程度防げることが分かった。また,稚魚の衝突死の防除には水槽壁の模様や電気照明が有効であること,さらに,仔魚からの脂肪組織形成過程や,仔稚魚期における疾病としてウイルス性神経壊死症およびマダイイリドウイルス症に罹病することも明らかにした。3)栄養素代謝・飼料開発:嗅覚・味覚-舌咽神経で応答がみられたアミノ酸,核酸関連物質および有機塩基は比較的共通していることが示された。摂餌刺激物質のIMPがこれら化学感覚器でも応答が高かった。脱脂処理した酵素処理魚粉64%,スジコオイル7.5%,活性デンプン8.0%,ビタミンC:0.043%,摂餌刺激物質0.5%を配合した飼料で,体重70gまでの稚魚を問題なく飼育できることを確認した。
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