2004 Fiscal Year Annual Research Report
膜蛋白質相互作用解析のための構造生物学的戦略の開発とその応用
Project/Area Number |
14104017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 一夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (70196476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺沢 宏明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (10300956)
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Keywords | 安定同位体標識法 / 交差飽和法 / 移転交差飽和法 / 膜蛋白質 / 相互作用解析 / NMR |
Research Abstract |
昨年度までに、我々は、TCS実験結果に基づいてKcsA-AgTx複合体モデルを構築し、複合体モデル中における相互作用残基対の特定を行った。その結果、電位依存性K+チャネルのポアーブロッカー感受性を決定する要因を明らかにしてきた。しかし、膜蛋白質が極めて不安定であることを考慮すると、膜蛋白質をNMRにて解析するためには、適切なNMR試料調整法が必要と考えた。そこで、NMR試料調整法に関して、以下のアイデアをもって実験を行った。膜蛋白質にHisタグを付加し、Zn-NTAビーズに吸着させ、脂質2重膜でコートし、プロテオリポソームを作成する。このような膜蛋白質の埋め込みにより、膜の内外に対する膜蛋白質の配向は完全にコントロールされことになる。また、膜蛋白質は、本来の二重膜に覆われているため、界面活性剤中に存在する場合に比較してより安定であることが期待される。さらに、Zn-NTAビーズに固定することにより膜蛋白質同士の凝集を抑えられることが期待される。 そこで、KcsAを吸着膜蛋白として、プロテオリポソームの作成を行った。 得られたプロテオリポソームに関して、共焦点顕微鏡を用いた脂質吸着の確認、また、DSC、燐酸のNMRシグナルの観測から、プロテオリポソーム上に脂質2重膜が存在していることが示された。したがって、KcsAチャネルを用いて、上記プロテオリポソームを構成させることに成功したと結論した。さらに、このプロテオリポソームを用いて転移交差飽和法実験を行い、AgTx上のチャネル結合面の同定を行ったところ、すでに得られていた結合残基と同じ残基を同定することができ、この再構成法は有効であることが示された。
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Research Products
(6 results)