2005 Fiscal Year Annual Research Report
モノ・宝物・美術品・文化財の移動に関する研究-価値観の変容と社会-
Project/Area Number |
14201009
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Research Institution | Independent Administrative Institution, National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
中野 照男 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 美術部, 部長 (20124191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 廣之 東京学芸大学, 芸術スポーツ科学系, 教授 (00132704)
田中 淳 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 美術部・黒田記念近代現代美術研究室, 室長 (00163501)
山梨 絵美子 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 情報調整室, 室長 (30170575)
津田 徹英 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 美術部・広領域研究室, 室長 (00321555)
勝木 言一郎 独立行政法人文化財研究所東京文化財研究所, 美術部, 主任研究官 (50249918)
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Keywords | モノの移動 / 価値の形成 |
Research Abstract |
近年、「美術」と「美術史」の成立に関する研究を通じて、「美術品」という姿は歴史の一段階にすぎないことが明らかになった。モノは「美術」となる以前から、さまざまなかたちで価値づけられた歴史を持つ。中国で生まれた絵画、工芸品が日本で「唐物」となり、社寺の宝物や大名家の数寄道具等となり、今日では博物館所蔵の美術品となっている、という変遷はその一例といえる。このような様相を考察する切り口として、本研究では「移動」という視点を設定する。「モノ」は移動の過程で、価値を質的・量的に変動し、また新たな価値を形成しつつさらなる移動を促すからである。「美的価値」の普遍性神話が崩壊した現在、「モノ」の価値から離れては成立し得ない美術史研究は、「モノ」の価値形成のシステムについて改めて問い直す必要がある。本研究では、この「モノ」を主語として、時間、空間、さらにコンテクストの変化から「モノ」の移動を追うことで、価値形成のダイナミズムを分析し、「モノ」の現在を解明することを目的とした。本年度は、研究のまとめとして報告書を作成した。以下、これに向けての補足的活動のうち主なものを列記する。 (1)国内外における調査 伊勢神宮125社(中谷)、韓国国立近代美術館・ソウル大学校美術館(山梨)、山口県文書館・毛利博物館(綿田)、ソウル徳壽宮美術館(田中)。 (2)収集資料のデータ化 伊勢神宮125社の建築配置図のCADデータ化(中谷)、九州関係文化財データベース(井手)。 (3)研究会等 平成17年9月16日、中間報告会兼報告書編集会議を開催した(於東京文化財研究所美術部研究会室)。平成18年2月15日、インドと日本の近代美術に関する研究会を東京大学東洋文化研究所および美術部と共同で開催した(於東京文化財研究所会議室)。
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Research Products
(6 results)