2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14201014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 講師 (50301859)
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80333582)
山岸 みどり 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (20211625)
石井 敬子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (10344532)
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Keywords | 信頼 / 協力 / 国際比較 / 囚人のジレンマ / 信頼ゲーム / 共感 / 社会的知能 / 評判 |
Research Abstract |
初年度である平成14年度には、計画されている実験の各シリーズの準備を進めるとともに、いくつかの実験を実施した。まず、ラトローブ大学との間で、内集団成員に対する信頼の基盤を探るための共同実験を実施し、集団成員への信頼が必ずしも自集団成員に対するポジティブなステレオタイプに基づくものではなく、集団協力ヒューリスティックに基づくものであることを明らかにした。また、信頼行動の日米差を明らかにする目的で、信頼ゲームと分配委任ゲームを用いた実験をスタンフォード大学と共同で開始し、現在進行中である。この実験のもう一つの目的は、互酬性の期待できる信頼ゲームと、互酬性の期待できない分配委任ゲームでの実験参加者の行動の比較にあったが、これまでの途中結果は、理論的予測とは反対に、信頼ゲームでの信頼行動が分配委任ゲームでの信頼行動よりも低い傾向を示している。この傾向はこれまでの先行研究でも示唆されており、信頼行動の理解に際して重要な鍵を握るものと考えられる。日本でのみ実施された、順次繰り返しPDと同時繰り返しPDとを比較した実験では、"リアルタイム型"繰り返し双方向信頼ゲームでこれまで得られた極めて高水準の協力行動が、同時繰り返しPDではなく順次繰り返しPDが"リアルタイム型"状況で生み出されていたためであることが明らかにされた。レモン市場における評判の効果を検討する実験も日本でのみ実施されているが、その結果は、"追い出し"原理に基づく評判の効果が閉鎖的集団でのみ見られるのに対して、"誘い込み"原理に基づく評判の効果は、開かれた社会においても存在しえることを明らかにしている。PDにおける協力者と非協力者の見極めに関する実験は韓国の梨花女子大学との間で共同で実施され、結果を現在分析中である。また、この実験で撮影された参加者の顔写真を用いた行動予測実験が、現在スタンフォード大学と共同で実施中である。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 寺井滋, 森田康裕, 山岸俊男: "信頼と継続的関係における安心:リアルタイム依存度選択型囚人のジレンマゲームを用いた実験研究"社会心理学研究. (印刷中).
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[Publications] 谷田林士, 下間恵梨, 真島理恵, 馬麗麗, 山下俊男: "協力者と非協力者の顔写真の再認"心理学研究. (印刷中).
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[Publications] Yuki, M.: "Intergroup comparison versus intragroup relationships : A cross-cultural examination of social identity theory in North American and East Asian cultural contexts"Social Psychology Quarterly. (印刷中).
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[Publications] Kiyonari, T., Yamagishi, T.: "Suleiman, et al.(Eds.), Contemporary Psychological Research on Social Dilemmas Cambridge University Press"Ingroup cooperation and the social exchange heuristic(印刷中).
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[Publications] Yamagishi, T.: "E.Ostrom & J.Walker (Eds.). Trust and reciprocity : Interdisciplinary lessons from experimental research Russell Sage Foundati"Cross-societal experimentation on trust : A comparison of the United States and Japan(印刷中).
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[Publications] 山岸俊男: "今井晴男・岡田章(編著)『ゲーム理論の新展開』頸草書房"社会的ジレンマ研究の新しい動向. 175-204 (2002)
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[Publications] 山岸俊男, 清成透子, 谷田林士: "佐伯胖・亀田達也(編)『進化ゲームの展開』共立出版社"社会的交換と互換性:なぜ人は1回限りの囚人のジレンマで協力するのか. 253-277 (2002)