2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14201014
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山岸 俊男 北海道大学, 大学院・文学研究科, 教授 (80158089)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
結城 雅樹 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50301859)
高橋 伸幸 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (80333582)
山岸 みどり 北海道大学, 高等教育機能開発総合センター, 教授 (20211625)
石井 敬子 北海道大学, 大学院・文学研究科, 助手 (10344532)
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Keywords | 信頼 / 協力 / 国際比較 / 囚人のジレンマ / 信頼ゲーム / 共感 / 社会的知能 / 評判 |
Research Abstract |
15年度には、14年度に開始された実験を継続するとともに、いくつかの実験が新たに開始された。以下、15年度に実施された実験研究の内容とその主要な知見を列挙する。14年度から維続されたスタンフォード大学との共同実験の結果は、日米において、信頼行動と信頼性行動との関係にずれが存在することを示している。14年度から予備実験が開始された心の文化差生成実験は、これまでに3つの実験を重ねながら、実験方法の改良が進んでいる。また、信念、ヒューリスティック、注意配分という3つの異なったレベルのいずれにおいても、実験室での文化差生成に部分的に成功しており、より精密な実験計画を用いたより詳細な研究への方向付けが得られている。具体的には、参加者間での相互監視によりレモン市場問題の解決を図る「集団主義的制度条件」において、普遍的な監視制度による解決を図る「個人主義的制度条件」におけるよりも、より相互依存的自己観が生まれ、多数派選択への選好が見られると同時に、背景情報への注意の配分が生じる傾向が見られた。15年度には、第3者制裁を内集団と外集団相手に行わせる集団内間制裁実験を開始し、日米からの被験者が混在する条件で、相互協力の促進を目的とする非協力者への制裁行動が、集団間の文脈では集団間葛藤を生み出すとする仮説の検証を進めている。実験は現在進行中であるが、この実験の予備実験として日本で実施した繰り返しのない実験では、基礎的な仮説が支持されている。社会的知能の一部としての、協力者と非協力者の認知に関する実験も14年度から継続されており、非協力者の顔写真が再認されやすいという興味深い結果が得られている。またこの実験のフォローアップとして実施された研究では、男性に関してのみであるが、非協力者の顔写真が協力者の顔写真よりも外見的魅力に富んでいることが明らかにされている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 谷田林士, 山岸俊男: "共感が社会的交換場面における行動予測の正確さに及ぼす効果"心理学研究. 74巻6号. 512-520 (2004)
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[Publications] T.Yamagishi, S.Tanida, R.Mashima, E.Shimoma, S.Kanazawa: "You can judge a book by its cover : Evidence that cheaters may look different from cooperators"Evolution and Human Behavior. 24. 209-301 (2003)
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[Publications] 寺井滋, 山岸俊男, 渡部幹: "2次的ジレンマ問題に対する集団応報戦略の効果:コンピュータ・シミュレーション研究"社会心理学研究. 19巻2号. 94-103 (2003)
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[Publications] 真島理恵, 山岸俊男, 松田昌史: "非固定的関係における信頼:シグナルとしての信頼行動"社会心理学研究. (印刷中).
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[Publications] 鈴木直人, 山岸俊男: "日本人の自己卑下と自己高揚に関する実験的研究"社会心理学研究. (印刷中).
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[Publications] T.Yamagishi, M.Foddy, Y.Makimura, M.Matsuda.T.Kiyonari, M.Platow: "Comparisons of Australians and Japanese on group-based cooperation"Asian Journal of Social Psychology. (印刷中).
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[Publications] Toshio Yamagishi: "Frank J. Schwartz & Susan J. Pharr (Eds.), The State of Civil Society in Japan"Trust and social intelligence in Japan. 281-297 (2003)