2004 Fiscal Year Annual Research Report
介護体験の構造:在宅介護支援効果の最大化に関わる要因の探求
Project/Area Number |
14201025
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
高橋 龍太郎 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団・東京都老人総合研究所, 参事研究員 (20150881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 恭一 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20009898)
須田 木綿子 東洋大学, 社会学部, 教授 (60339207)
深谷 太郎 財団法人東京都高齢者研究, 福祉振興財団, 研究助手 (80312289)
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Keywords | 国際研究者交流 / 介護保険 / 社会福祉学 / 質的研究 / 介護負担 / 家族関係 / 介護支援専門員 |
Research Abstract |
虚弱高齢者の在宅生活を終末まで維持する支援体制をいかに整えるかは急務の課題である。家族は、都市化や核家族化の影響で予測し得ない要素を増大させている。一方、生み出されつつあるはずの新しい介護関係や、一部に根強く存在する伝統的な日本的家族介護の実態が十分に把握されて来なかった。このような問題意識の下、本研究は日米の共同プロジェクトとして、東京都葛飾区と秋田県大館市・田代町に居住する要支援・要介護高齢者とその家族を対象に、学際的に調査研究しようとしている。その結果第1回目の質的調査を次の4点にまとめた。第一に、今日にあっても、家族は老親介護の責任を放棄しているわけでなく、伝統的な介護のあり方を合理的に判断し、新しい方法で介護役割を果たそうとしていた。子の性別や出生順位へのこだわりは薄れ、新しい考え方や価値観を自分たちの介護に取り入れ、ホームヘルパーや「外人嫁」などの人々の手もかりるようになっていた。第二に、伝統的な家族介護も強固にまもられていた。大館市・田代町の「嫁」が、結婚時から老親介護の準備を「覚悟」というかたちで開始することは、本プロジェクトの米国研究者に驚きをもって受けとめられた。日本における伝統的家族介護を象徴的に表現するテーマとして、これらの「嫁」の介護体験を追跡する計画である。第三に、公的サービスの利用は、それぞれの家族の「文脈」によって規定されていることが改めて確認された。その「文脈」には、家族の経済状態やライフスタイル、過去から現在に至る人間関係、主介護者の家族内での立場や気質、サービスに対する認知度などが含まれ、要介護者の健康状態の変化や介護保険制度のあり方によっても修飾された。最後に、依然として施設介護への需要が高いことについて、「在宅サービス=同居=家族介護」という日本独特の認識とのかかわりが指摘され、制度と文化の相互関係について考察が展開されつつある。
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Research Products
(6 results)