2004 Fiscal Year Annual Research Report
民主社会実現手段としてのインクルーシブ教育の社会的背景と理論的基盤に関する研究
Project/Area Number |
14201026
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 満紀男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80000280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二文字 理明 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00030461)
窪田 眞二 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80170033)
鳥山 由子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00302365)
河合 康 上越教育大学, 学校教育学部, 助教授 (90224724)
石田 祥代 東京盛徳大学, 人文学部, 講師 (30337852)
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Keywords | インクルーシブ教育 / 拡大コア・カリキュラム / 差別 / フル・インクルージョン / 低発生障害 / 協同学習 / 社会参加 / パーソナル・アシスタンス |
Research Abstract |
アメリカ合衆国、英国、北欧のインクルーシブ教育について、本研究で設定しているインクルージョンの社会的背景と理論的基盤という観点に基づいて、本年度は、アメリカでは1990年代半ば以降に顕著となったフル・インクルージョンについて、その理念と低発生障害におけるインクルージョン教育の結果との間に生じた相克とその発生原因を検討した。この問題には、発達障害的発想のインクルージョンと盲・聾との伝統的な特殊教育に適用するインクルージョンとでは、発想と理念において必ずしも調和しておらず、それぞれの専門性(たとえば視覚障害における拡大コア・カリキュラム)を考慮した実施過程が採用されなければ、とりわけ低発生障害では、インクルージョンの最終理念である公正と社会への参加の達成が困難になることが示唆された。また、インクルーシブ教育実現における重要課題である通常教育の教員の意識、方法では協同学習について検討した。英国では、標準的なインクルーシブ教育の評価・実施手引きであるCSIE発行のIndex for Inclusionを「インクルージョンの指標」として訳出・刊行したほか、通常教育におけるインクルーシブ教育の要となるコーディネーターと、障害の関連ではインクルーシブ教育と対となっている障害者差別禁止法の観点から高等教育における障害学生差別について検討した。北欧については、北欧的インクルーシブ教育論として、テッセブローの「インクルージョンの時代」を訳出・刊行し、また、スウェーデンにおける個別的なニーズへの対応方法としてのパーソナル・アシスタンスを取り上げた。さらに、欧米的インクルーシブ教育を分析する場合、開発途上国の考え方とその実践を視野に入れて検討する必要があるので、インドにおけるインクルーシブ教育環境における視覚障害児教育を検討した。
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Research Products
(10 results)