2002 Fiscal Year Annual Research Report
中央アジアにおけるムスリム・コミュニティーの成立と変容に関する歴史学的研究
Project/Area Number |
14201037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (A)
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
堀川 徹 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (60108967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲葉 穣 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (60201935)
井谷 鋼造 追手門学院大学, 文学部, 教授 (60144309)
磯貝 健一 京都外国語大学, 国際言語平和研究所, 嘱託研究員 (40351259)
帯谷 知可 国立民族学博物館, 地域研究企画交流センター, 助教授 (30233612)
小松 久男 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (30138622)
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Keywords | 国際研究者交流 / ウズベキスタン / イスラーム / 中央アジア / 史科学 / 古文書学 / 中世史 / 近代史 |
Research Abstract |
今年度の研究は、研究遂行のための資料調査・資料研究に力を注いだ。各班毎の研究成果を以下に記す。 【a班】研究分担者の井谷、小野、稲葉がウズベキスタン共和国に出張し、サマルカンドおよびフェルガーナで、主にカラ・ハーン朝期(9〜13世紀)の各種碑文を調査した。とくに、フェルガーナ地域の調査では現地の考古学者の協力により、新出の碑文史料を実見するなどの成果を得た。 【b班】研究代表者の堀川、研究分担者の磯貝、研究協力者の川口、矢島がウズベキスタン共和国に出張し、海外共同研究者のToshevと共に、サマルカンド国立博物館所蔵の古文書調査に従事した。その際、京都外国語大学国際言語平和研究所と同博物館の間で、後者が所蔵する未整理の古文書約250点を対象とする共同研究契約が締結された。その後の整理作業の結果、これらの文書の中に、19〜20世紀初頭のムスリム・コミュニティーの実態を解明する上できわめて重要な、多数の裁判関連文書が含まれていることが判明した。また、サマルカンド滞在中に、フェルガーナ地域の古文書についての情報を得る機会に恵まれ、来年度の調査対象とすることが決定された。 一方、本研究の成果をひろく我が国の研究者と共有するため、3月15,16の両日、京都外国語大学において「中央アジア古文書研究セミナー」と題するヒヴァ文書に関する研究会を開催し、32名におよぶ研究者の出席を得た。 他に、研究分担者の川本はイランに出張し、現地でスーフィズム関連史料の調査・収集をおこなった。 【C班】研究分担者の黒田がイランに、帯谷がウズベキスタンにそれぞれ出張し、現地で関係資料の調査・収集作業に従事した。とくに、帯谷は現地の研究者の協力により、同国の国立図書館に収蔵されている、中央アジア近代史に関する膨大な史料集成の電子データ化作業をほぼ完成させた。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 堀川徹: "ヒヴァ・ハーン国時代のカーディー文書研究"三島海雲記念財団研究報告書 平成13年度. 39号. 109-112 (2002)
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[Publications] 堀川徹: "オスマン帝国時代のイスタンブル-多文化共生の町"奥川義尚他編『異文化を知るこころ』. 211-224 (2003)
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[Publications] 磯貝健一: "イスラーム教徒の考え方を知る-イスラーム法の話"奥川義尚他編『異文化を知るこころ』. 141-153 (2003)
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[Publications] 井谷鋼造: "アフガーニスターンの歴史と現在"追手門学院大学アジア文化学科年報. 5号. (2002)
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[Publications] 稲葉穣: "ナーイ・カラ石窟開窟の歴史的背景について"西南アジア研究. 58号. (2003)
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[Publications] Hisao Komatsu (小松久男): "Reform and Rebellion in Central Asia at the Turn of the 20th Century : The Search for a True Islam"Andrea Strasser ed., Zentralasien und Islam. 59-65 (2002)
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[Publications] 小松久男: "中央アジアの多様な世界:文明の重層と複合"宇山智彦編『中央アジアを知る60章』. 20-24 (2003)
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[Publications] 小松久男: "ロシア・ムスリムの改革と反乱:ジャディード運動とアンディジャン蜂起"宇山智彦編『中央アジアを知る60章』. 60-64 (2003)
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[Publications] 小松久男: "フェルガナ盆地のイスラーム復興:草の根の信仰と「原理主義」"宇山智彦編『中央アジアを知る60章』. 243-247 (2003)
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[Publications] 帯谷知可: "バスマチ運動におけるエンヴェル・パシャ"松原正毅,後藤明編『西アジア社会の重層的構造』. 135-153 (2003)
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[Publications] 帯谷知可: "二〇世紀中央アジアにおけるある国家の終焉-ブハラの運命が語るもの"アジア新世紀2 歴史 アジアの作られ方・つくりかた. 183-200 (2003)
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[Publications] 帯谷知可: "ウズベキスタンの新しい歴史-ソ連解体後の「国史」叙述のいま"森明子編『歴史叙述の現在-歴史学と人類学の対話』. 146-169 (2002)
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[Publications] 帯谷知可: "ウズベキスタン:民俗と国家の現在・過去・未来"松原正毅編『地鳴りする世界9.11事件をどうとらえるか』. 97-141 (2002)
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[Publications] 井谷鋼造(共著): "西アジア史IIイラン・トルコ"山川出版社. 476 (2002)
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[Publications] Kh.Komatsu(小松久男)et al.(ed.): "Muhammad Yunus Khvaja b. Muhammad Amin Khwaja Ta'ib, Tuhfa-yi Ta'ib"Tashkent-Tokyo. 44 (2002)