2005 Fiscal Year Annual Research Report
奴隷制社会における拘束型労働の実践と記憶ならびに制度正当化の言説
Project/Area Number |
14201038
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 均 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (50154844)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 信彦 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10175888)
遠藤 泰生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50194048)
木村 秀雄 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10153206)
増田 一夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70209435)
村田 雄二郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (70190923)
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Keywords | 奴隷制 / 植民地 / ポストコロニアル / 人種 / アメリカ / ラテンアメリカ / カリブ海 / 南北アメリカ |
Research Abstract |
平成17年度は、前年度までに得られた知見の統合を進めるかたわら南米現地調査を行ない、プロジェクトのまとめに入った。 第一に、知見の統合に供するため、研究書を購入したほか、18世紀大西洋経済圏での奴隷を用いたプランテーション経営の実態を知るための史料をマイクロ媒体で購入した。また、18世紀における拘束型労働力の太平洋を越えた移動を知る手掛かりとなる史料もマイクロ媒体で購入した。いずれの史料もアメリカ太平洋地域研究センターのコレクションに加え、プロジェクト参加者と研究者全般の利用に供している。 第二に、前年度までの調査と考察を以下の形で研究分担者が発表した。まず増田は、「アフリカによる証明」『世界』(岩波書店)所収、および「「主人」と「奴隷」の解放--グローバリゼーションの弁証法」『心と身体の世界化』(人文書院)所収の両論において、植民地時代以来引き継がれるグローバルな経済構造を背景に拘束型労働を正当化する言説が今尚開発途上国の人々を苦しめる現状を分析した。一方、遠藤、荒は、『史料で読むアメリカ文化史』の中で、黒人奴隷社会の形成とその遺産が合衆国の歴史に刻んだ諸相をそれぞれ分析した。また足立は、『UP』に前年度アフリカ現地調査の総括を掲載、現代社会における「貧困」の源と「奴隷交易」の歴史の連関を論じた。 第三に、12月25日から1月7日までは、荒、遠藤、足立、木村がブラジルとアルゼンチンの二カ国で奴隷・拘束型労働の歴史調査を行った。まず、サンパウロで移民社会の構造を実地調査した後、リオデジャネイロ郊外に存在する逃亡奴隷の共同村落を訪れ、18世紀・19世紀におけるブラジル国内の奴隷交易の歴史を聞き取り調査した。ブエノスアイレスでは、19世紀ガウチョ文化の表象とその歴史的意義を博物館等で調査した。 第四に、2月には過去4年の間にプロジェクト参加者が刊行した業績のとりまとめを始めた。
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Research Products
(6 results)