2003 Fiscal Year Annual Research Report
大都市圏所在金融機関の営業地盤と不良債権の総合的研究
Project/Area Number |
14203008
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀江 康煕 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (80209288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川向 肇 神戸商科大学, 商経学部, 助教授 (30234123)
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Keywords | 地域金融機関 / 関係型取引 / 取引銀行数 / 修正評点 / 自己資本比率 / 規模の経済性 / 利益率 / ビジネスモデル |
Research Abstract |
本研究では、まず金融機関の経営・利益率に密接に結びついている要因として、企業と銀行との取引関係に注目した。そして、企業と銀行との取引関係を、企業の取引銀行数の決定要因といった視点から分析し、上場企業は取引行数が多い一方、非上場企業は資本金規模が小さくなるほど取引行数が少ないことを明らかにした。また、貸出額が最大の銀行としてのメインバンクによる優良先の「囲い込み」を中心に検討し、優良企業については金融機関側からのアプローチが多い一方、メインバンクにとっては「囲い込み」の誘因も強く、両者の力関係によって取引行数が決定されることを実証的に検討した。 こうした取引行数を増やす要因として、優良企業については貸出取引の多いことが利益率を高めるといったことが考えられる。そこで、地域金融機関の代表として東京都内の信用金庫を取り挙げ、実証分析を行い、銀行にとってメイン・準メインではなくたとえ貸出順位が下位であっても、優良企業との取引数の増加が収益拡大に結びつき易い状態にあること、また逆にそれ銀行が取引先数を増やす大きな背景となっていることを示した。 2005年春より、ペイオフの完全実施が予定されており、そのために金融機関は如何に対応すべきかについても検討した。そして、担保に依存しない金融方式を開発すること、コストの引き下げの必要性、あるいは情報開示の徹底等が重要であることを示した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 堀江康煕: "地域金融機関の行動と特徴"大住圭介, 堀宣昭編『グローバリゼーションと地域経済・公共政策2』 九州大学出版会. 55-90 (2003)
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[Publications] 堀江康煕: "信用格付を用いた不良債権規模の推計"九州経済学会年報. 第41集. 115-120 (2003)
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[Publications] 堀江康煕: "ペイオフ全面解禁への備えは -健全性の確保と十分な情報開示を"『金融ジャーナル』2003.12月号. 2003.12月号. 12-13 (2003)
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[Publications] 堀江康煕: "Credit Rating and Nonperforming Loans"Discussion Paper, Faculty of Economics, Kyushu University. No.2003-6. 35 (2003)
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[Publications] 川向 肇: "東京都下における金融機関の支店の変化に関する計量的分析"神戸商科大学経済研究所 研究資料. 16 (2003)
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[Publications] 堀江康煕(編著): "現代金融の経済学"日本評論社. 257 (2003)