2005 Fiscal Year Annual Research Report
大都市圏所在金融機関の営業地盤と不良債権の総合的研究
Project/Area Number |
14203008
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
堀江 康煕 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (80209288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川向 肇 兵庫県立大学, 大学院・応用情報科学研究科, 助教授 (30234123)
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Keywords | 金融機関の株価 / 短期的な収益力 / ストックとしての健全性 / too-big-to-fail / 地元回帰 / シンジケート・ローン / 小口ローン / 営業店の改廃 |
Research Abstract |
不良債権問題の終息後に考えるべきは、個々の金融機関の生き残り策である。本年度は、こうした視点から、地域銀行の株価動向と貸出の分散状況、および都銀の店舗の改廃状況を取り挙げ、それらの背景および課題を検討した。 地銀・第二地銀の株価は、全体として近年回復基調を辿るなかでバラツキが拡大している。その決定要因を計量的手法を用いて検討すると、短期的な指標(業務純益率等)との関連性は弱まってきており、金融機関経営の効率性を単にフローとしての費用・収益の関係のみで判断する方法には、大きな限界がある。そうした指標に替わって、長い眼でみた収益力ないしストックの健全性を表す指標、即ち不良債権比率や自己資本比率等に関する市場の見方が厳しくなっている。また、金融機関の規模が大きいことに対する評価は、引き続き株価の上昇要因ではあるが、そのインパクトは後退していることなどを明らかとした。 こうした長い眼でみた収益力は、究極的には運用力、就中その大半を占める貸出に依存するところが大きい。そこで、地域銀行の貸出の地元ないし大都市圏といった地域的な分散状況について検討した。その結果、地域銀行は地元回帰姿勢を採ってきた結果、都銀の撤退等も加わりシェアアップに奏効している先が多い。しかし、従来からの取引企業の資金需要は強くないだけに、小口ローンや東京に於けるシンジケート・ローンのウエイトが高まってきている。こうした貸出は、それまでのリレーションシップに基づいた貸出・金利形成方式とは異なる要素が強いだけに、将来的には貸出全般の金利形成方式が変化する可能性もある。 なお、経営効率化を進める過程で、営業店の統廃合問題が生じており、それを阪神間の都銀営業店を対象に、地理情報システムを使用して経済環境を含めた各営業店の属性を検討した。その結果、常勤職員数に代表される店舗の規模、店舗近傍に於ける競合状況、最寄り支店までの距離が大きく影響することが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)