Research Abstract |
本年度は主として量子推測の数理統計学的基礎とその応用について次の研究を行った.(i)量子力学の非局所性と統計性をテーマにして理論・実験の両面から研究.特に量子推定,量子検定など量子力学の統計理論的基礎にかかわるものの他,量子コンタングルメント,非局所的相関,量子緩和,観測問題等,具体的な物理現象と理論に関して多くの成果を得た.(ii)数理統計学と計量心理学の関連トピックスとして,反復測定データの分析,線形・非線形混合モデル,因果推論,欠測データの分析,グラフィカルモデリング,構造方程式モデリング,独立成分分析,多次元尺度法,因子分析などの多変量解析をとり上げ,問題提起,サーベイ,種々の手法の提案等を行った.(iii)統計的推測に関する理論,方法論,応用の研究,特に高次元多変量2値データの判別における変数選択,多変量正規母集団分布の平均ベクトルの多重比較法,2つのポアソン母数に順序がある場合の線形関数の推定,正規時系列回帰モデルにおける近似尤度推定,L-統計量の漸近分布,アフィン変換不変モーメントと文字認識,2段階法による母平均ベクトルの信頼区間,正準判別分析における高次元漸近展開,異なる繰り返し数をもつ多変量混合線型モデルにおける予測問題等について多くの成果を得た.(iv)データ解析のための統計科学理論の研究.特に,制約条件付の線形モデルにおけるLiu推定量,ウェーブレット分解による非定常雑音の処理,ある形に配置された2値独立試行列における連の数の分布,殆ど一致の待ち時間分布,署名問題の統計解析,記録データに含まれる情報量,U統計量の凸結合のステューデント化に基づくエッジワース展開,ロジット回帰モデルによる倒産確率の推定,リスク細分型保険の純保険料推定のためのロバスト回帰分析,多項母集団の一様性検定統計量における近似,繰り返し測定データにおける多重比較、ある種の楕円母集団での分布と共分散行列の検定等について成果を得た.なお,(i)〜(iv)について研究会の予稿の形で資料を作成した.
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