Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 啓史 国立情報学研究所, 情報学基礎, 助教授 (60272390)
宇野 力 秋田大学, 教育文化学部, 助教授 (20282155)
景山 三平 広島大学, 教育学研究科, 教授 (70033892)
狩野 裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (20201436)
前園 宣彦 九州大学, 経済学研究科, 教授 (30173701)
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Research Abstract |
本年度は主として量子推測の数理統計学的基礎とその応用について次の研究を行った。(i)因子分析がC.Spearmanによって提唱されて100年になり,その間の著しい発展を踏まえて,非正規因子分析,構造方程式モデリング,独立成分分析,グラフィカルモデリングに関する研究を行った.たとえば,マトリックス法と因子分析との関係が調べられ,予備因子分析における非反復推定とその性質が求められ,非正規データのいくつかの型をもつ構造方程式モデルの最尤法による解析が行われた.(ii)統計的推定方式や検定方式などの開発とその構造および最適性などについて研究した.たとえば,平均ベクトルの比較のために保守的な多変量のTukey-Kramer型方式の開発を行い,局外母数が存在する場合に検定統計量のクラスの2次の漸近的性質を調べ,正方分割表における準対照モデルとブラッドテリーモデルからの隔たりを測る尺度を提案し,U統計量の分散推定量の高次の漸近比較を行い,LINEX損失関数のもとでの正規分布の平均の多段階推定法について研究した.(iii)統計学のみならず離散数学あるいは組合せ理論の一部としても確立している実験的計画法において,実験計画・デザイン理論の最適性,構成,解析に関する研究を行った.たとえば,釣り合い型不完備ブロック計画の加法的構造,2部グラフにおける自己補グラフの数え上げについて調べ,2因子及び3因子交互作用に対する検索可能計画を構成した.(iv)数理ファイナンス・リスクマネジメント,非線形モデリングと統計解析,統計的漸近理論,ノンパラメトリック回帰等について研究した,たとえば,曲指数型分布族の共役解析の双対構造について調べ,エルゴード拡散における判別関数の漸近展開を行い,変化点モデルに対する漸近理論を独立系列から相関系列へ拡張し,頑健性と効率性を同時に追い求める適応的なパラメータ推定法を開発した.(v)量子力学に基礎を置く新しい統計学の分野である量子統計を量子情報の観点から研究した.たとえば,局所的観測量による量子推定,2次コニタリ通信路の漸近推定問題における量子クラメルラオ型の評価を行い,最大エンタングルメント状態検出についての一次漸近論を展開した。
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